犯人がだれであるかが捜査機関に発覚する前(犯罪の発生自体が未発覚の場合も含む)に,犯人が捜査機関に対して自発的に自己の犯罪事実を申告し,その処分にゆだねること。自首をすると,刑法上,刑を減軽されうる(刑法42条)。内乱や私戦の予備・陰謀罪などの場合は,自首すれば刑が免除されることになっている(80,93条)。自首した者の刑を減免するというのは,西洋にも例のないことではないが,東洋の律令法制の伝統に由来するものである。自首が刑の減免事由とされるのは,捜査・処罰を容易にし,予備・陰謀罪については事を未然に防ぐという政策的考慮が主な理由である。改悛の情が認められることも理由の一つとされるが,現行法では,悔悟したことは刑の減免の条件とはされていない。犯人が発覚する前に自首しなければ刑法上の自首にはならないから,発覚後に,逃げきれないと悟るなどして警察に出頭しても,自首による刑の減免は受けられない。まだ発覚していないと誤信して出頭したときも同じである。ただし,酌量減軽(66条)を受けうるのは別論である。自発的に申告しなければ自首にはならないから,捜査機関の取調べに対して自白するのは自首にはならない。しかし,すすんで余罪を自白したときは,自首になる。自首は,必ずしも犯人がみずから出頭してする必要はなく,人を介しての申告も自首になりうる(判例)。刑事訴訟法上は,自首は,捜査を開始するきっかけになる。裏付け捜査なども必要だからである。刑事訴訟法は,自首は書面または口頭で検察官または司法警察員に対してするものとしている(刑事訴訟法245条)。この際,調書が作成される。
なお,親告罪について,犯人が告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げてその告訴にゆだねることを〈首服〉といい,首服した場合も,刑法上,刑が減軽されうることになっている(刑法42条)。自首による減軽と同様の趣旨に基づくものである。
→量刑
執筆者:平川 宗信
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罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に、自発的に自己の犯罪事実を申告すること(刑法42条1項)。これには、犯罪事実がまったく捜査機関すなわち司法警察職員または検察官に発覚していない場合のほか、この事実は発覚しているが、その犯人がだれであるかが発覚していない場合も含まれる。この申告の方法については、自ら直接行うか、他人を介するかを問わないし、書面によるか口頭で行うか、のいずれでもよい。ただ、捜査機関にとって、だれが自首したのか確定できない場合や、捜査機関の取調べ中に自白した場合には、自首にはあたらない。
犯人が自首した場合には、一般に刑の任意的減軽事由にあたるが、刑法各則においては、自首が刑の必要的な免除または減免事由とされたり(刑法80条・93条、破壊活動防止法38条3項など)、任意的減免事由とされること(刑法170条など)もある。
[名和鐵郎]
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… (1)再犯加重とは(3犯以上の場合にも同じ――総称して累犯という),前に懲役に処せられた者が,その執行を終わりまたは執行の免除を受けた日から5年内に,さらに罪を犯して有期懲役に処すべき場合,長期が2倍となることをいう(56条以下)。(2)法律上の減軽は,過剰防衛(36条2項),未遂(43条),あるいは犯人が自首をした場合(42条)などに認められる(複数の事由があっても,法律上の減軽としては一括される)。この減軽により,死刑を無期または10年以上の懲役もしくは禁錮に,無期の懲役・禁錮を7年以上の有期の懲役・禁錮にするほか,刑期や金額を2分の1とするなどの措置がとられる(68条)。…
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