普及版 字通 「致(漢字)」の読み・字形・画数・意味
致
常用漢字 10画
[字訓] いたす・おくる・きわめる・おもむき
[説文解字]
[字形] 会意
字の初形はに作り、至+人。〔説文〕五下に「り詣(いた)るなり」とし、会意とする。至は矢の到達点。そこに人が到る意。金文の〔鼎(こつてい)〕に「用(もつ)て(こ)の人を(いた)す」とあり、致送の意に用いる。ただ到るのではなく、そこに赴き行為する意を含む字であろう。〔左伝、文六年〕「之れを(境)に致す」とあるのが字の古義。転じて召致の意に用いる。致仕・致政も、職を辞し官を送り返す意。篆文の字形は・攴(ぼく)でなく、夊(すい)に従う形で、夊は歩して赴く意。占地のために矢を放って、その到達点に赴き、そこでことをはじめる意であろう。その境位に達することであるから、心の到り達するところを雅致・趣致のようにいう。
[訓義]
1. いたる、いたす、占地したところにおもむく。
2. おくる、おくりとどける、ものをおくる、ことをつたえる。
3. まねく、めす。
4. きわめる、おしきわめる、ゆきつく、つくす、極致。
5. おもむき、ようす、風情。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕致 イタス・ムネ・ユク・ヨシ・イタル
[声系]
〔説文〕に致声として・緻を収める。は刺す、緻は緻密の意。致の声義との関係は明らかでないが、周密に刺す意があるのであろう。
[語系]
致tiet、至tjietは声義近く、召致することを致という。tjiei、抵tyeiにも、致・至の訓がある。また臻tzhenも声義に通ずるところがあり、同系の語である。
[熟語]
致哀▶・致意▶・致雨▶・致役▶・致遠▶・致悪▶・致函▶・致詰▶・致敬▶・致刑▶・致賢▶・致好▶・致行▶・致孝▶・致控▶・致効▶・致告▶・致国▶・致斉▶・致斎▶・致札▶・致仕▶・致志▶・致士▶・致死▶・致思▶・致師▶・致贄▶・致事▶・致謝▶・致書▶・致勝▶・致身▶・致政▶・致精▶・致贈▶・致知▶・致治▶・致定▶・致▶・致度▶・致罰▶・致膰▶・致富▶・致福▶・致平▶・致聘▶・致法▶・致味▶・致密▶・致民▶・致命▶・致用▶・致養▶・致力▶・致礼▶・致禄▶・致和▶
[下接語]
異致・一致・逸致・引致・運致・遠致・佳致・雅致・格致・合致・奇致・羈致・興致・曲致・局致・極致・屈致・景致・堅致・巧致・高致・坐致・思致・詞致・辞致・殊致・馴致・書致・召致・招致・情致・深致・生致・清致・精致・絶致・送致・大致・通致・美致・必致・筆致・布致・風致・文致・幽致・誘致・拉致・力致・立致
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報