航空通信(読み)こうくうつうしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「航空通信」の意味・わかりやすい解説

航空通信
こうくうつうしん

航行中の航空機が、安全で正確に飛行し、かつ能率的な運航を図るために設置された無線施設や通信施設と、これらを運用する各種の業務や組織をいう。

 航空機と地上または航空機相互間で無線電話により行われる通信は、航空移動業務といい、これには、おもなものとして航空交通管制業務、飛行場アドバイザリー業務、航空路情報提供業務、捜索救難業務などがある。無線電話の使用語は、世界共通語として現在英語が使用されており、そのほかに、その地域の言語が使用できる。日本では英語と日本語が使用されており、周波数帯はUHFVHFHFが使用される。地上の基地間で無線もしくは有線電話テレタイプなどにより行う通信は航空固定業務といい、国際回線としては航空固定回線を統合した世界的組織である国際航空固定通信網(AFTN)がある。

 航行中の航空機の位置や方向の決定あるいは障害物の探知のために行われるものは航空保安無線業務といい、方向探知局やGCA(地上誘導着陸方式)で実施される。そのほか日本の航空保安無線施設としてはNDB(無指向性無線標識施設)、DME(距離測定装置)、マーカーVOR(超短波全方向式無線標識施設)、TACAN(タカン)(戦術航法システム)、ILS計器着陸装置)、ロケーター、ロランなどがある。

 気象NOTAM(ノータム)などの航空に関する情報を放送する業務は航空放送業務といい、これには、航空機に気象実況や予報の定時放送をするVOLMET(ボルメット)放送、特定空港における離着陸に必要な気象情報、および飛行場、航空保安施設の状況を常時放送するATIS(飛行場情報放送業務 automatic terminal information serviceの略称)、標準時刻を知らせる標準時刻放送などがある。

[青木享起・仲村宸一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android