般若(仏教)(読み)はんにゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「般若(仏教)」の意味・わかりやすい解説

般若(仏教)
はんにゃ

サンスクリット語プラジュニャーprajñā、パーリ語パンニャーpaññāの音写。仏教において、八正道(はっしょうどう)、四諦(したい)、六波羅蜜(ろくはらみつ)などを修めることによって顕現する真実の智慧(ちえ)。分析的判断能力から出発して、これを超え、存在すべてを全体的に一瞬のうちに把握する直観知のこと。悟りの智慧。この語が脚光を浴びるのは、初期大乗経典の『般若経』においてで、そこでは、この智慧によって仏陀(ぶっだ)たることを得るので「仏母(ぶつも)」とよばれる。それは存在を実体として執着(しゅうじゃく)することを離れることから生じる根源的理性でもある。

坂部 明]

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