般若(能面)(読み)はんにゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「般若(能面)」の意味・わかりやすい解説

般若(能面)
はんにゃ

代表的な能面の一つ。2本の角(つの)をもつ鬼女の面。女の激しい嫉妬(しっと)や怒り、内面の悲しみを巧みに表現した造形で、優れた舞台効果をあげる。室町期の面打ち般若坊の創作からの名称という。『葵上(あおいのうえ)』『道成寺(どうじょうじ)』『黒塚(くろづか)(安達原(あだちがはら))』『紅葉狩(もみじがり)』『現在七面(げんざいしちめん)』などに用いる。「白般若」とよばれる品格を主としたものは『葵上』に、強さを主眼とした般若は『黒塚』にといった使い分けもあり、さらに愛欲の獣性のたけだけしさを強調する「蛇(じゃ)」の面は『道成寺』に用いる。

増田正造

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の般若(能面)の言及

【能面】より

…ほかに阿形では天神,黒髭(くろひげ),顰(しかみ),獅子口など,吽形では熊坂(くまさか)がある。能面の鬼類では女性に属する蛇や般若,橋姫,山姥(やまんば)などのあることが特筆される。(3)は年齢や霊的な表現の濃淡で区別される。…

※「般若(能面)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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