船手・舟手（読み）ふなて

精選版 日本国語大辞典

ふな‐て【船手・舟手】

〘名〙

① 船の通りみち。船の通路。航路。

※隆信集（1204頃）冬「野も山も雪降ぬればあとたえてふなてに残る冬の通路」

② 兵船の軍勢。水軍。船隊。艦隊。

※太閤記（1625）一三「船手之勢は九鬼大隅守、島津陸奥守」

③ 船方。船乗り。乗組員。

※北夷談（1822頃）「舟方一同信心致し、船形を拵、〈略〉洗米、神酒等を積入海中へながしたり。是は舟手の古事のよし」

④ 幕府や諸藩の御用船の幹部役の乗組員。

※政談（1727頃）三「諸番頭・諸物頭・御船手等は武備の役也」

⑤ 「ふなてがしら（船手頭）」の略。

※吏徴（1845）上「御船手五人 若年寄支配、七百石高」

⑥ 船に乗る代金。船代。

※歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚（1809）四立「船手(フナテ)の代りに所望したい」

出典　精選版 日本国語大辞典