色直(読み)いろなおし

精選版 日本国語大辞典 「色直」の意味・読み・例文・類語

いろ‐なおし ‥なほし【色直】

〘名〙
白色衣服から色のある衣服に着替えること。
(イ) 出産後百一日目に、産婦と赤子とが、それまで着ていた白小袖をぬいで色物に着替えること。〔伊勢家秘書誕生之記‐色直(古事類苑・礼式六)〕
(ロ) 結婚の式後、新婦が白い衣服から色物に着替え、あわせて、室内の調度装飾なども白色から常の色に改めること。現代では、結婚式が終わって宴に移る時や、宴の途中に、式服から他の色模様のあるものに着替えること。
※御湯殿上日記‐文明一一年(1479)一二月五日「源大納言の御れう人ゑ、こうはいまいらせられて、色なをしさせまいらせらるる」
諒闇(りょうあん)が終わった時、魚味のある御膳を供すること。〔基量卿記‐延宝六年(1678)六月二〇日〕
葬儀のとき、墓参りをすませて、精進落ちをすること。肴物(なまもの)を食べ、平常着に着替える。昭和初期まで地方で行なわれた風習
④ 染め直し。
[語誌](1)①(イ) について、産婦や生まれたての赤子が白い衣服を着せられていたという事実は、「宇津保物語‐蔵開上」や「源氏物語‐葵」「紫式部日記」などの記述でうかがい知ることができる。しかし、「いろなおし」という語それ自体が見えるのは、中世の記録類からである。
(2)①の(イ)(ロ)どちらが本来的なものかは不明であるが、白い衣服を色のある衣服に着替えるという点で共通し、その行為一般をさす語として用いられていたのであろう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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