色素異常

内科学 第10版 「色素異常」の解説

色素異常(口腔粘膜・舌の疾患)

(4)色素異常
a.メラニン色素沈着症(melanosis)
定義・概念
生理的沈着症,系統的疾患の一症状であるもの,および無関係のものに分類される.
1)生理的メラニン沈着:
歯肉に多くみられ,有色人種ではある程度生理的な現象と考えられている.
2)系統的疾患の一症状としてのメラニン沈着:
Peutz-Jeghers症候群,Addison病,Albright症候群,von Recklinghausen病で口腔粘膜の色素沈着がみられる.
3)黒色性斑:
人種的着色,系統的疾患と関連のない色素斑.通常は治療の必要はない.
b.色素性母斑(pigmented nevus)
定義
 メラノサイトの過誤腫的増殖.皮膚では「ほくろ」とよばれる.
鑑別診断
 悪性黒色腫との鑑別が困難な場合には,切除生検を行う.
治療・予後
 正常部分を含めて切除する.悪性化については不明.
c.悪性黒色腫(malignant melanoma)
定義・概念
 メラノサイトに由来する悪性腫瘍で,皮膚,粘膜,脳,脊髄,眼,消化器などに発生する.
臨床症状
 種々の大きさの腫瘤を形成し,青紫色,茶褐色などさまざまな色を呈するが,着色のないものもある.また,腫瘤を形成しないものもある.
治療
 外科手術が勧められるが,化学療法放射線療法免疫療法を含めた集学的治療が行われる.
経過・予後
 早期転移が出現し,治療成績はきわめて不良である.[高戸 毅]
■文献
榎本昭二,他編:最新口腔外科学,第4版,医歯薬出版,東京,2000.玉置邦彦総編集:最新皮膚科学大系第17巻 付属器・口腔粘膜の疾患,第1版,中山書店,東京,2002.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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