出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
江戸後期の戯作者(げさくしゃ)。本名山本藤十郎。別に司馬全交、司馬交などとも号した。江戸の商家の生まれで、のち水戸藩の大蔵流狂言師山本藤七の養子となり、その業を継いだ。江戸・芝西久保神谷町に住む多芸多才な通人として知られ、戯作を好み、1780年(安永9)黄表紙の処女作『時花兮鶸茶曽我(はやりやすひわちゃそが)』を出して以来、『大通仏買帳(だいつうぶつかいちょう)』『拝寿仁王参(おがみんすにおうさん)』『十四傾城腹之内(じゅうしけいせいはらのうち)』などおよそ40部の黄表紙を残し、山東京伝と並ぶ町人作者として活躍、恋川春町(こいかわはるまち)、朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)以後の代表的作者となった。典型的な江戸っ子で、江戸庶民の日常生活を好んで題材としたが、その作風は知的で陽気な都会性の滑稽(こっけい)味に富み、軽快な笑いと奇抜な発想や表現にその本領があった。代表作『大悲千禄本(だいひのせんろっぽん)』はわずか5丁(10ページ)の小冊ながら、もっとも黄表紙らしい作品として知られる。
[宇田敏彦]
『小池正胤・宇田敏彦他編『江戸の戯作絵本』全6冊(社会思想社・現代教養文庫)』
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※「芝全交」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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