落零(読み)おちこぼれ

精選版 日本国語大辞典 「落零」の意味・読み・例文・類語

おち‐こぼれ【落零】

〘名〙
① 落ちて散らばったもの。特に稲の落穂。かきこぼれ。
政談(1727頃)一「箇様の落こぼれを拾てこそ世を渡るべけれ」
残り物。あまりもの。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一〇「己の暇と喚び做せる零砕(オチコボレ)のミニュートありしかば」
③ 転じて、他の事の影響としてうける利益。おこぼれ。余恵
歌舞伎宇都宮紅葉釣衾宇都宮釣天井)(1874)四幕「こんな賑やかな事はござりませぬ。其落ちこぼれで〈略〉引切りなしのお客さまでござります」
社会生活で普通の人から取り残されること。また、取り残された人。学校授業についていけない児童、生徒。
※あきらめ(1911)〈田村俊子一八「世の中の落ちこぼれ人間が迷ひ込んでくるから」

おち‐こぼ・れる【落零】

〘自ラ下一〙 おちこぼ・る 〘自ラ下二〙
① 落ちて散らばる。
藁草履(1902)〈島崎藤村〉三「『かしばみ』の実の路に落ちこぼれるのも爰です」
② 物が残る。余る。転じて、他の事の影響として利益がある。
③ 社会生活において人に取り残される。学校で授業についていけずに取り残される。
※君の名は(1952‐54)〈菊田一夫〉二「力の足りない女や老人が、そういう世の中から落ちこぼれてゆくのですよ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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