…前者では,ノアの子でトルコ人の祖ヤペテの直系であるカラ・ハーンの子として生まれたオグズが,母・妻をイスラムに改宗させ,やがて異教徒である父をはじめとする一族に勝利して王権を握り,次いで日・月・星・空・山・海という名をもつ彼の6子がそれぞれ4人ずつの子をもうけ,これらの24子からオグズの24氏族が出現する過程が語られている。一方,後者では,アイ・カガンの子オグズの少・青年期と,天空からの一条の光の中から現れた娘との結婚,日・月・星と呼ばれる3子の誕生,さらに木の空洞に座した娘との第2の結婚と,空・山・海と呼ばれる3子の誕生,オグズのウイグルのカガン位への即位,ウルム・カガン,チュルチェト・カガンらに対する蒼き狼に先導されての出征と勝利,息子たちへの国土の分割などが語られている。オグズ族に属するセルジューク朝のイスラム世界への進出という歴史的状況をも背景に,オグズ族の擬人化としてのオグズ・ハーンがイスラム化したトルコ系諸民族の間に,徐々に理想的な君主の像として定着・普及していったものと思われる。…
※「蒼き狼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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