蔵部郷(読み)くらぶごう

日本歴史地名大系 「蔵部郷」の解説

蔵部郷
くらぶごう

和名抄」高山寺本は「久良ヘ」、東急本は「久良布」と訓ずる。部はヘ、フどちらにも訓ずるが、平安時代の私家集「祭主輔親卿集」には「あふみのくらぶのさと」で詠んだとして「よそにてはくらぶのさとゝ聞しかと普ねく照す秋のよの月」とあり、クラフが一般的だったのではないかと思われる。高山寺本の訓は部の「ヘ」の音に引かれたものであろう。地名そのものは早くからみえ、「日本書紀」天武天皇元年(六七二)七月二日条には大海人皇子軍が「倉歴道くらふのみち」を制圧しようとしたこと、同月五日条には近江朝廷軍の田辺小隅が「倉歴」を越えて伊賀にいた大海人皇子軍を襲おうとしたことが記される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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