薬価差益(読み)やっかさえき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「薬価差益」の意味・わかりやすい解説

薬価差益
やっかさえき

医療機関は,患者に使用した薬剤費を薬価基準の価格 (公定価格) で請求する。しかし実際には,ほとんどの医薬品は割引価格で納入されていることから,巨額の差益を生じることになり,医療機関にとって大きな収入源となる。厚生省調査によると,1987年度の具体的な薬価差益は1兆 3248億円にもなり,平均差益は 25.7%で,国民1人あたり年間約1万円になっていた。薬価基準は市場実勢価格もと一定の価格幅を上乗せする形で決定されるようになり,医療費に占める薬剤費の割合は低下しつつある。

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世界大百科事典(旧版)内の薬価差益の言及

【薬価基準】より

… 医療機関が保険診療に要した費用を保険者に請求するために作成する診療報酬明細書は,薬剤を購入した価格ではなく薬価基準を用いて算定する。このため,購入価格と請求価格である薬価基準との差により薬価差が生じ,この差益(薬価差益)が医療機関の経営に大きく貢献しているとして,社会的に批判されている。厚生省は薬価算定方式の改定により,その縮小に努めている。…

※「薬価差益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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