藤白坂(読み)ふじしろざか

日本歴史地名大系 「藤白坂」の解説

藤白坂
ふじしろざか

[現在地名]海南市藤白

藤白王子のあった藤白から藤白峠を越える熊野街道の坂。街道は南に下って橘本きつもと(海草郡下津町)に出る。熊野参詣道難所の一つであるが、眺望も見事で、「万葉集」をはじめ歌にも詠まれ、「藤白の御坂」として歌枕にもなっている。「日本書紀」斉明天皇四年一一月一一日条に「丹比小沢連国襲を遣して、有間皇子を藤白坂に絞らしむ。是の日に、塩屋連魚・舎人新田部連米麻呂を藤白坂に斬る」とある。謀反嫌疑によって捕らえられた有間皇子は、天皇が滞在していた紀温湯きのゆ(現西牟婁郡白浜町の白浜温泉)に護送され、その帰途藤白坂で絞首されたのである。江戸時代には藤白松という松が藤白王子社の西二町にあり、有間皇子が絞首された所と伝えていた(続風土記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の藤白坂の言及

【海南[市]】より

…大正期から海岸を埋め立てて繊維産業が導入されたが,60年代半ばに県によって160haの埋立てが完成し,火力発電所,鋼管工場,石油精製所が立地した。南隣りの下津町へ越える藤白坂は,熊野街道の難所として著名であったが,海南湯浅道路の長峰トンネルが開通した。【水田 義一】。…

※「藤白坂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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