虎舞(読み)とらまい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「虎舞」の意味・わかりやすい解説

虎舞
とらまい

獅子舞のごとく,トラの皮模様の胴幕に 2人一組で入り,1人は胴,1人はトラの頭(かしら)を操って,太鼓ささらなどの囃子に乗って演じる青森県から宮城県にかけての三陸海岸沿いで特に多く行なわれているほか,神奈川県横須賀市,静岡県南伊豆町,山梨県北杜市,香川県東かがわ市,愛媛県松山市,熊本県御船町,鹿児島県いちき串木野市の各地にも見られる。三陸沿岸では火防せ(ひぶせ)の力があるとされるものが多く,屋根の上に登って舞う演目などもある。三陸沿岸も含め,神奈川県,静岡県,香川県の各地では,浄瑠璃国性爺合戦』のトラ退治題材をとった演目を見ることができる。

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改訂新版 世界大百科事典 「虎舞」の意味・わかりやすい解説

虎舞 (とらまい)

民俗芸能。獅子舞の一種であるが,虎の頭(かしら)をつけ,1頭に2人入って舞う二人立ちである。岩手県陸前高田市広田町の〈梯子(はしご)虎舞〉は,虎が大小の太鼓と笛の囃子ではしごを駆けのぼり,サブと称するあやし2人も扇と造花を持ってはしごにのり,アクロバティックな振りを見せる。また宮城県気仙沼市の旧鹿折(ししおり)村のもののように,虎が子どもと立回りをするものもある。熊本県阿蘇市の虎舞は,豊年祭に演じたもので,獅子頭を用い,雑多な芸を含む。阿蘇では現在は既製の獅子頭を用いているが手製の頭も残っている。笛,太鼓,三味線の囃子で,獅子が2頭のときは様式的な舞を見せ,1頭のときは物まねの《玉取り》の曲などを演じる。
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世界大百科事典(旧版)内の虎舞の言及

【獅子舞】より

…全国の悪魔払いや豊年祈願などの二人立ちの獅子舞はたいてい太神楽の獅子舞に入る。このほか虎頭をつける虎舞などもある。沖縄の獅子舞は後代の伝来と思われるが縫いぐるみ式である。…

※「虎舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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