虚無(読み)キョム

デジタル大辞泉 「虚無」の意味・読み・例文・類語

きょ‐む【虚無】

何物もなく、むなしいこと。空虚。
この世に存在するすべてのものに価値意味を認めないこと。「虚無感」
虚心であること。「虚無自在の心」
無限の宇宙大空虚空こくう
古代中国の老子哲学で、万物の根源・本体は、はかりがたく無であるということ。
[類語]虚ろ空しい空虚はかない

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精選版 日本国語大辞典 「虚無」の意味・読み・例文・類語

きょ‐む【虚無】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「きょぶ」か。→きょぶ )
  2. 何もなくむなしいこと。空虚であること。空(くう)。皆無(かいむ)
    1. [初出の実例]「其の末を学びて源を明めざれば、ことにのぞみて覚えざる過(あやまち)あり。其源と云ふは、心に一物をたくはへざるを云ふ。しかも虚無の中に留るべからず」(出典神皇正統記(1339‐43)上)
  3. 心にわだかまりがないこと。何物にもとらわれず虚心であること。
    1. [初出の実例]「神を養ふとは〈略〉諸事をすてて恬澹虚無にして、真をまったうするをいふなり」(出典:全九集(1566頃)一)
    2. [その他の文献]〔荘子‐刻意〕
  4. ( 何もないの意から ) はてしなく広がる大空。空中。虚空(こくう)
    1. [初出の実例]「一道長江通千里。漫々流水漾行船。風帆遠没虚無裡。疑是仙査欲上天」(出典:文華秀麗集(818)下・江上船〈嵯峨天皇〉)
    2. [その他の文献]〔司馬相如‐大人賦〕
  5. 中国で、老子の説いた説。天地万物の本体は認識を超えた形状のないものであるとする、有無相対を超越した境地。→虚無の学
    1. [初出の実例]「老子の道徳を散じて、思のままに論じて簡要は、老子の虚無自然に帰したぞ」(出典:史記抄(1477)一一)
    2. [その他の文献]〔史記‐太史公自序〕
  6. 世の中の真理や価値、また、人間存在そのものを、空虚で無意味なものと考えること。
  7. こむ(虚無)

きょ‐ぶ【虚無】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ぶ」は「無」の漢音 )
  2. きょむ(虚無)
    1. [初出の実例]「虚無 キョブ」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
  3. きょむ(虚無)
  4. きょむ(虚無)
  5. きょむ(虚無)
    1. [初出の実例]「礼義等の才覚を習へば、妄心日々にまし、虚無(キョブ)大道を行へば、妄念日々に損ずと云へり」(出典:米沢本沙石集(1283)一〇末)

こ‐む【虚無】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こ」は「虚」の呉音 ) 仏語実体としての物がないこと。有無のはからいを越えて、空(くう)であり、真実そのものである無為自然のこと。
    1. [初出の実例]「又解脱者名曰虚无。虚无即是解脱」(出典:教行信証(1224)五)

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普及版 字通 「虚無」の読み・字形・画数・意味

【虚無】きよむ

無。道家原理とする道。否定、無規定的なものを道の実体とする。〔史記太史公自序家は無爲、~其の無を以て本と爲し、因循を以て用と爲す。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「虚無」の意味・わかりやすい解説

虚無
きょむ

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