融解(読み)ユウカイ(英語表記)melting
fusion

デジタル大辞泉 「融解」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐かい【融解】

[名](スル)
とけること。また、とかすこと。「雪が融解する」「疑念が融解する」
固体が加熱などにより液体になる現象。溶融ようゆう
[類語]溶ける溶解水溶解氷雪解け融雪霜解け消え残る

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精選版 日本国語大辞典 「融解」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐かい【融解】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物質がとけること。また、とかすこと。
    1. [初出の実例]「水質〈略〉此得温質而融解、引清気而発燄」(出典:気海観瀾(1827))
  3. 固体が加熱によって液体になる変化。溶融。〔現代文化百科事典(1937)〕
  4. ものごと、気分などが、とけあってひとつになることや、ひとつにすること。また、やわらかくほぐれること。ほぐして理解すること。
    1. [初出の実例]「自己の確信とは、〈略〉我れと我が身に融解会得したる、真の智識をいふなり」(出典:国語のため(1895)〈上田万年〉今後の国語学)

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改訂新版 世界大百科事典 「融解」の意味・わかりやすい解説

融解 (ゆうかい)
melting
fusion

物質が固体から液体へ状態を変化させる過程。凝固の逆過程である。この過程は一般に吸熱過程であり,物質の単位質量を融解するのに要する熱量を融解熱と呼ぶ。氷が融解して水になる場合は,1g当り約80calの熱が必要である。一定圧力のもとで,物質の固体と液体の相が平衡に存在する温度を融点,または融解点と呼び,これは一般に凝固点に等しい。記号ではmelting pointの略でmpと表す。通常,1気圧の下での融点をその物質の融点とする。固体が結晶を形成しているとき,一定の圧力のもとでは融点は一定であるが,圧力が変われば変化する。融解によって膨張する物質であれば圧力の増加とともに融点は上昇し,収縮する物質であれば降下する。例えば,水の融点(氷点)は1気圧下では0℃であるが,133気圧の下では約-1℃に下がる。アイススケートで滑ることが可能なのは,スケートのエッジ部分に体重による局所的に強い圧力がかかって,その下の氷の融点が下がり,外気の温度が融点より高くなる状況がつくられ,氷が溶けるためである。非晶質の固体物質では一定の融点を示さず,温度が上がると粘い状態を経てしだいに液相となる。これはガラスを熱した場合に見ることができる。このことから,結晶状態を真の固相とし,非晶質の固体物質は液相に属するとみなす考え方もある。混合物の融点は,ふつう純粋物質の融点より低い。この現象を融点降下lowering of melting pointと呼び,融点の精密な測定は物質の純度判定などに利用される。

 融解を微視的に見ると,結晶状の固体を特徴づける長距離秩序が,液体では失われて,短距離秩序だけになると考えられている。秩序が失われると内部エネルギーは減るがエントロピーが増すので,温度が高ければ自由エネルギーは液体状態のほうが固体状態より低くなり,融解が起こる。融解の格子理論では,固体と液体の間の関係は原子や分子のレベルで調べられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「融解」の意味・わかりやすい解説

融解
ゆうかい
melting; fusion

結晶性の固体が液体に変る現象。結晶性の固体を加熱していくとき,融解が進行している間は一定の温度が保たれる。この温度は純粋物質では固有であって,融解点または融点と呼ばれ,凝固点と一致する。融解の際に吸収される潜熱は融解熱と呼ばれ,凝固熱に等しい。融解は微視的には,固体状態で規則的な格子点を中心に熱振動している原子や分子が,加熱によってその熱振動が激しくなり,ついに規則的配列から解放されて乱雑に運動する液体状態になる現象である。金属や無機塩などの高温度での融解を熔解ともいう。融点は圧力によっても異なり,たとえば圧力が高くなると氷の融点は低くなる。アイススケートがよく滑るのは,スケート靴の鋭いエッジの下の氷が高圧のために融解して潤滑剤の役目をするからである。非結晶性の無定形物質の固体が液体になる現象は軟化と呼ばれる。軟化温度は一定ではない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「融解」の意味・わかりやすい解説

融解
ゆうかい

固体が融(と)けて液体になる現象。一次相転移であり、潜熱を必要とする。一定圧力のもとでは一定の温度でおこり、この温度を融点という。このとき吸収される潜熱は融解熱とよばれ、単位質量当り、または1モル当りの数値で表される。融点を圧力の関数として描いた曲線融解曲線とよばれるが、一般に凝縮系では、融点は圧力に対して鈍感である。

[平野賢一]

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化学辞典 第2版 「融解」の解説

融解
ユウカイ
fusion, melting

溶融ともいう.固相にある物質が熱せられて液相になる変化をいう.分子論的な機構としては結晶の温度が高くなると分子の熱振動ははげしくなり,振動の振幅漸次増大し,非調和的な振動になっていく.このような振動がある程度(分子間距離の10% 程度)以上に大きくなると結晶の規則配列は消滅し,融解が起こる.結晶質の固相が融解により液相になる場合は一次転移であり,ギブズエネルギーは連続的に変化するが,一般に融解熱や融解エントロピーを必要とし,密度,比熱容量などの物理量が不連続に変化する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「融解」の意味・わかりやすい解説

融解【ゆうかい】

溶融とも。固体が熱せられて液体になる現象。氷が水になるのはこの例。凝固の逆の現象。→融解熱融点
→関連項目凝固

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岩石学辞典 「融解」の解説

融解

fusion: (1) 一般に固相にある物質が熱せられて液相になる相変化[片山ほか : 1970,長倉ほか : 1998].(2) 分析操作として,不溶性物質を融剤(flux)と共に強熱して可溶性の物質に変える操作[片山ほか : 1970,大木ほか : 1989].
melting: →熔融

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普及版 字通 「融解」の読み・字形・画数・意味

【融解】ゆうかい

融釈。

字通「融」の項目を見る

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栄養・生化学辞典 「融解」の解説

融解

 融合とか合着という意味に使う場合もある.固体状態の物質が液体の状態になること.

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世界大百科事典(旧版)内の融解の言及

【ジャズ】より


[ジャズのゆくえ]
 1969年マイルス・デービスは《ビッチェズ・ブリューBitches Brew》(CBS)というレコードを発表した。13人のメンバー中,11人までがリズム・セクションという楽器編成から流れ出すこみいった複合リズム,さらにロックなどジャズから派生して発展したポップスからの再影響に加え,電気楽器を駆使したサウンドは,70年代の新しい動き――クロスオーバーcrossoverないしフュージョンfusionの先駆的作品と評価されている。70年代のフュージョン界の主要なリーダーは,そのほとんどがマイルス・バンドの出身者であったことは,マイルスの存在と影響力がなお衰えていないことを示すものであった。…

【溶解】より

…速く溶解させるために系の温度を上げたり,溶質を細かく砕いたり,そしてかきまぜたりするゆえんである。【橋谷 卓成】
[金属工学における溶解melting]
 金属を加熱して融点以上の温度にし,固相から液相に変える操作を溶解という。金属の溶解に要する熱量は,固体金属の比熱,変態熱,溶解潜熱,液体金属の比熱から計算される。…

※「融解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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