螟蛉子(読み)めいれいし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「螟蛉子」の意味・わかりやすい解説

螟蛉子
めいれいし

旧中国で行われていた異姓養子。地蜂(じばち)がアオムシ螟蛉)の幼虫をとって育てるのに例え、こう称した。中国は父系制なので、本来は父系親から養子をとるのが原則であるが、台湾などではむしろ異姓間の養子のほうが多いほどであった。聘金(へいきん)を生家に与えることによって生家と子との縁をいっさい断つが、その額は、幼少のほうが高いこともある。これは、物心つき実父母を知っていると断絶しえないからである。螟蛉子をもらってのちに実子が生まれても、息子としてほぼ同等の相続権を与えられる。なかには自分の娘を螟蛉子に配することもあるが、この場合には戸内婚として婚礼も簡単に済ませる。

[末成道男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の螟蛉子の言及

【養子】より

…嗣子は子たる義務を実父ではなく嗣父に負い,実家の家産に対する権利を失うが,離縁された場合にはこの限りではない。一方,承継を目的とせず,恩恵的に養育する異姓養子は義子(俗に螟蛉子(めいれいし))と称され,ときにより財産分与の対象となることもあった。唐律では嗣子と義子の概念は未分化であったという。…

※「螟蛉子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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