本来は血のつながりのある者,すなわち血縁者の意味である。民法は,このほか,養子縁組によって発生する親族をも血族になぞらえて同じ扱いをしている(727条)。前者を自然血族,後者を法定血族と呼ぶ。民法は,6親等までの直系・傍系の血族を親族とする(725条1号)。自然血族関係が出生により発生し死亡により終了することはいうまでもない。法定血族関係は養子縁組により,養子と養親およびその血族の間で発生する。ただし〈養子縁組の日から〉(727条)発生することになっているので,養子の縁組前に出生した養子の子等は養親の法定血族にはいらない。養親子が離縁すれば養子縁組によって発生した親族関係はすべて終了する(729条)。これに対し,養親が死亡した場合は,養子が死後離縁の手続(811条6項)をとらないかぎり,親族関係は切れないことに注意する必要がある。血族であることによって発生する権利・義務は親権,扶養,相続などにわたっているが,いずれも一定の範囲に限定されている。また,直系血族間と3親等内の傍系血族間の婚姻は禁止されている(734条)。近親結婚の禁止である。この禁止は法定血族にも適用されるが,養子と養親の子等との婚姻は例外として認められている(同条但書)。しかし,養子等と養親との婚姻は離縁した後でも認められない(736条)。
→姻族 →親族
執筆者:武井 正臣
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…結局日本中世の家は,律令制を前提とする求心的な荘園制社会の中から生まれてきたために,上から,外的契機に強く作用されながら登場してきたといってよいのであり,それはまた家の内在的倫理の弱いところに,家長が外との関係を軸にして家の論理を主導するという上述の特色を規定する要因ともなった。【義江 彰夫】
[近世]
中世までの家は一門・一流・家門などと呼ばれる広い範囲の血族団体を指していたが,近世になるとそれらは分解して,通常は世帯を一つにする血族団体を指すようになった。すなわち当主とその配偶者と直系血族である。…
…親子関係に発する血族関係と婚姻関係に発する姻族との総称。社会関係の一つとしての親族関係は,夫婦・親子・キョウダイ(兄弟姉妹)という3種の基本的関係およびそれらを組み合わせた関係の連鎖によってなり,父方・母方(夫方・妻方)の双方にわたり,本来双系的な組織である。…
※「血族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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