血族(読み)ケツゾク

デジタル大辞泉 「血族」の意味・読み・例文・類語

けつ‐ぞく【血族】

血のつながった人々。血縁。法律上は、養親子ようしんしのように、これと同様に扱われる者(法定血族)を含めていう。
[補説]書名別項。→血族
[類語]血縁血続き家門一門一族家系家筋いえすじうじ血筋血脈血統筋目毛並み血が繋がる血を引く血を分ける血を受ける

けつぞく【血族】[書名]

山口瞳による長編私小説。亡くなった母の波乱人生と、自身出自の謎に迫る。昭和54年(1979)刊行。第27回菊池寛賞受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「血族」の意味・読み・例文・類語

けつ‐ぞく【血族・血属】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 祖先が同じで血の続いている人々。血縁のある人々。
  3. 同じ種族民族を祖先とする人々。同族
    1. [初出の実例]「アングロ・サクソンの血族なる友よ」(出典:道程(1914)〈高村光太郎〉廃頽者より)
  4. 血筋のつながっている親族。また、養子のように、法律上血筋がつながっているものと同様にみなされる者。
    1. [初出の実例]「血属は、西洋の法に於ては等を以て相分ち、自身に近きものを一等とし、上下一様其次第を分ちしものなり」(出典:百学連環(1870‐71頃)〈西周〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「血族」の意味・わかりやすい解説

血族 (けつぞく)

本来は血のつながりのある者,すなわち血縁者の意味である。民法は,このほか,養子縁組によって発生する親族をも血族になぞらえて同じ扱いをしている(727条)。前者を自然血族,後者を法定血族と呼ぶ。民法は,6親等までの直系・傍系の血族を親族とする(725条1号)。自然血族関係が出生により発生し死亡により終了することはいうまでもない。法定血族関係は養子縁組により,養子と養親およびその血族の間で発生する。ただし〈養子縁組の日から〉(727条)発生することになっているので,養子の縁組前に出生した養子の子等は養親の法定血族にはいらない。養親子離縁すれば養子縁組によって発生した親族関係はすべて終了する(729条)。これに対し,養親が死亡した場合は,養子が死後離縁の手続(811条6項)をとらないかぎり,親族関係は切れないことに注意する必要がある。血族であることによって発生する権利・義務は親権,扶養,相続などにわたっているが,いずれも一定の範囲に限定されている。また,直系血族間と3親等内の傍系血族間の婚姻は禁止されている(734条)。近親結婚の禁止である。この禁止は法定血族にも適用されるが,養子と養親の子等との婚姻は例外として認められている(同条但書)。しかし,養子等と養親との婚姻は離縁した後でも認められない(736条)。
姻族 →親族
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「血族」の意味・わかりやすい解説

血族
けつぞく

血のつながったもの同士。自然の親子・兄弟姉妹などのほか、民法では、養子と養親およびその血族との間も血族であるとしている。前者を自然血族、後者を法定血族といい、単に血族というときは両者を含む。民法旧規定(1947改正)では、継親子後妻と先妻の子など)と嫡母庶子(本妻とめかけの子)も血族とされたが、現在は姻族にすぎない。血族の間にはさまざまな権利義務関係が発生するが、相続と扶養はそのおもなものである。自然血族関係は死亡によってのみ終了し、親子兄弟の縁を切る「勘当」や「義絶」は今日認められていない。法定血族関係は離縁および縁組の取消しによって終了する。

[高橋康之]

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百科事典マイペディア 「血族」の意味・わかりやすい解説

血族【けつぞく】

血のつながった者同士およびそのようなものとして法律が擬制した者同士をいう。前者を自然血族,後者を法定血族という。現行民法では,法定血族は養子と養親および養親の血族との間に認められる。6親等内の血族は親族とされる(民法725条1号)。
→関連項目姻族血族結婚親族

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血族」の意味・わかりやすい解説

血族
けつぞく
consanguinity

血のつながりのある人。したがって生物学的な親子関係もしくはその連鎖で結ぶことのできる関係者をいう。血族には父子関係のみの連鎖で結ばれた男系血族 agnateと,父子関係および母子関係のいずれの関係の連鎖をも含む双系血族 cognateとが区分されてきた。もともと血族という用語は姻族という用語と対置して,親族的関係者のカテゴリーとして使用されてきたが,親族は必ずしも血族とはかぎらないということが常識化するにつれ,血族というカテゴリーの意味が薄れてきている。

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普及版 字通 「血族」の読み・字形・画数・意味

【血族】けつぞく

肉親。

字通「血」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の血族の言及

【家】より

…結局日本中世の家は,律令制を前提とする求心的な荘園制社会の中から生まれてきたために,上から,外的契機に強く作用されながら登場してきたといってよいのであり,それはまた家の内在的倫理の弱いところに,家長が外との関係を軸にして家の論理を主導するという上述の特色を規定する要因ともなった。【義江 彰夫】
[近世]
 中世までの家は一門・一流・家門などと呼ばれる広い範囲の血族団体を指していたが,近世になるとそれらは分解して,通常は世帯を一つにする血族団体を指すようになった。すなわち当主とその配偶者と直系血族である。…

【親族】より

…親子関係に発する血族関係と婚姻関係に発する姻族との総称。社会関係の一つとしての親族関係は,夫婦・親子・キョウダイ(兄弟姉妹)という3種の基本的関係およびそれらを組み合わせた関係の連鎖によってなり,父方・母方(夫方・妻方)の双方にわたり,本来双系的な組織である。…

※「血族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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