血液ドーピング(読み)けつえきドーピング(英語表記)blood doping

翻訳|blood doping

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血液ドーピング」の意味・わかりやすい解説

血液ドーピング
けつえきドーピング
blood doping

骨格筋への酸素供給量を増加させようとの意図輸血を行なうこと。マラソンに代表されるような持久性種目においては有効といわれる。具体的には,選手本人から事前に計画的採血を行ない,これを試合日に合わせて凍結保存しておき,競技開始約 24時間前に溶解させるとともに生理的食塩水を用いて,ヘマトクリット値が約 50%になるように再形成し,1000ml前後の量を輸血する方法がとられている。 1971年,"Track & Field News"誌にその方法や効果が紹介され,広く知られるようになった。 IOCがこれをドーピング一種として禁止するようになったのは,88年のオリンピック (ソウルカルガリー) からである。なお,自己輸血のほかに同種輸血の方法も考えられ,エイズ感染やその他の病原体感染の恐れもあるので,IOCはこの血液ドーピングについても,その追放を強く呼びかけている。

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世界大百科事典(旧版)内の血液ドーピングの言及

【ドーピング】より

…1997年現在,IOCではドーピング薬物と禁止方法として次のものをあげている。まず,禁止薬物として,(1)興奮剤,(2)麻薬鎮痛剤,(3)タンパク同化剤,(4)利尿剤,(5)ペプチドならびに糖タンパクホルモンとその同族体,次に,禁止方法として,(1)血液ドーピング,(2)薬理学的・化学的・物理的操作,そして,一定の規制の対象となる薬物として,(1)アルコール,(2)マリファナ,(3)局所麻酔剤,(4)コルチコステロイド,(5)β遮断剤である。検査は主として選手の尿をとって化学的に分析をする方法がとられる。…

※「血液ドーピング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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