血管強化薬(読み)けっかんきょうかやく

改訂新版 世界大百科事典 「血管強化薬」の意味・わかりやすい解説

血管強化薬 (けっかんきょうかやく)

毛細血管の透過性を抑制し,脆弱(ぜいじやく)性を改善することによって出血を防止する薬。ビタミンC(アスコルビン酸),アドレノクロム誘導体,フラボノイド製剤などがある。ビタミンCの欠乏が長期にわたると壊血病をおこし,症状の一つとして斑状出血や筋肉内出血などがみられる。ビタミンCは,血管の脆弱化を防ぐほか,創傷ややけどの治癒をも促進するといわれる。アドレノクロム誘導体は,アドレナリンが酸化されて生じる赤色物質アドレノクロムの誘導体で,血管収縮作用をもたないが止血作用を示すことが見いだされたことから,それの安定な誘導体としてカルバゾクロムがつくられた。これは毛細血管の抵抗性を増大させて止血作用をあらわす。ヘスペリジン(従来ビタミンPと呼ばれた)やルチンなどのフラボノイドも毛細血管強化作用を示し,紫斑病や網膜出血などの防止に使われる。作用の発現にはビタミンCの共存が必要ともいわれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の血管強化薬の言及

【止血薬】より

…多くの止血薬は,低下した血液凝固機能を補強するため,あるいは血管の抵抗性を強めるために全身投与が行われるが,表面出血を抑えるために局所に適用するものもある。作用機序のうえからは,血液凝固促進薬,繊維素溶解系阻害薬,血管強化薬などが含まれる。(1)血液凝固を促進する薬物 ビタミンKはナフトキノン誘導体で,天然にはK1(フィトナジオン)とK2が存在し,K3(メナジオン)は合成薬である。…

※「血管強化薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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