単語をその構成上から分類した場合の一類で、本来独立した用法をもつ二つ以上の単語が結合してできた単語をいう。名詞(雪山、追風)、動詞(投げ出す、血走る)、形容詞(細長い、根強い)など多くの品詞にあり、構成要素の語の品詞も名詞、動詞(の連用形)、形容詞(の語幹)、副詞などさまざまである。なお、複合語の構成要素となった単語は、雨傘(あま←あめ+がさ←かさ)、秋風(あきか ぜ←あ き+かぜ)など、語形の一部やアクセントが単独の用法と異なる場合がある。構成要素の語種も、和語、漢語、外来語さまざまであり、このうち漢語どうしの結合は「熟語」とよぶことが多い。同種の語の結合のほかに、重箱(漢+和)、手製(和+漢)、消しゴム(和+外)、スタート台(外+漢)など、異なる語種の組合せもある。これらを「混種語」ということがある。アベック・ホームラン(フランス語+英語)のように由来の異なる外来語の組合せもある。また、やぶく(←やぶる+さく)、微苦笑(←微笑+苦笑)のように、類似した語どうしがない交ぜになってできた語を「混成語」または「かばん語」といい、これも複合語の一種である。歴史的には複合してできた語とみなせるものでも、肴(さかな)(←酒+菜)、蛤(はまぐり)(←浜+栗(くり))、黄昏(たそがれ)(←誰(た)+そ+彼)など、複合語と意識されなくなった語も多い。ある一続きの語が複合語であるか否かの判断には実際には微妙なものがある。
[清水康行]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…〈ホンバコ〉という語は,〈ホン〉と〈バコ〉という意味をもつ最小単位,すなわち形態素に分けられる。バコ/bako/はハコ/hako/と同じ意味であるが,複合語の後の要素として用いられている。このように形態素は現れる場所により異なる語形をとることがある。…
…たとえばblack bird(黒い鳥)は2語であるが,blackbird(ムクドリ)は1語であって複合である。ホン・バコ,クズ・カゴは複合語(合成語)である。何が複合語であるかは,どれを〈一単語〉とみるかにかかっている。…
…2個以上の単位の語が結びついて,構文上1個の単語と同様の働きをするものを,一般に熟語という。一連の表現ではあるが,文法上なお数個の単語の連続とみなされるもの(その連続の間には助詞の働きが認められる)は,慣用句,成句などとよび,その結合が1個の単語とみなされて全体としてある1品詞に属させられるときは複合語,成語などとよぶ。【林 大】。…
※「複合語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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