(読み)カツ

デジタル大辞泉 「褐」の意味・読み・例文・類語

かつ【褐】[漢字項目]

常用漢字] [音]カツ(漢) カチ(呉)
カツ
粗い毛で織った衣服。「褐寛博
黒ずんだ茶色。「褐色褐炭
〈カチ〉かち色。濃い藍色。「褐布かちぬの

かち【褐】

濃い藍色あいいろ。かちいろ。かつ。かちん
かさねの色目の名。表裏ともに萌葱もえぎ色。
ウサギの毛で織った織物兎褐とかち
「錦の袋に入れたる一つと、―の袋に入れたる一つ」〈宇津保・俊蔭〉

かちん【褐】

《「かち」の音変化》「かち(褐)1」に同じ。
「―の直垂ひたたれ小桜を黄に返したるよろひ着て」〈保元・上〉

かつ【褐】

粗い毛で織った衣。
濃い藍色あいいろ。かち。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「褐」の意味・読み・例文・類語

かち【褐】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あらい毛織物。かつ。〔史記‐劉敬伝〕
  3. 毛織りに似せた粗布
  4. かちぎぬ(褐衣)
    1. [初出の実例]「各々皆着競馬装束、或又かちにさしぬき、着打懸」(出典:殿暦‐康和四年(1102)六月一日)
  5. かちいろ(褐色)
    1. [初出の実例]「かちの衣著たる男ども燈したり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)

かつ【褐】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かち(褐)
  3. かちいろ(褐色)
    1. [初出の実例]「一色に長絹(ちゃうけん)直垂を著る時は、褐(カツ)布袴をきせ、一色に繍物(ぬひもの)の直垂を著(きる)時は、赤(あかき)袴をきせ」(出典:源平盛衰記(14C前)一)

かちん【褐】

  1. 〘 名詞 〙 「かち(褐)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「三位中将、その日の装束にはかちんに白う黄なる糸をもて、群千鳥繍うたる直垂に」(出典:高野本平家(13C前)九)

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