(読み)ニク

デジタル大辞泉 「褥」の意味・読み・例文・類語

にく【×褥】

毛の敷物しとね
「―と思ひし苔にも」〈梁塵秘抄・二〉
《皮が敷物に適するところから》カモシカ別名。〈文明本節用集〉

じょく【×褥/×蓐】

柔らかい敷物。しとね。

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精選版 日本国語大辞典 「褥」の意味・読み・例文・類語

にく【褥・蓐】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 毛の敷物。しとね。
    1. [初出の実例]「時に王、見て起ち、床を立て蓐(ニク)を敷きて居ゑ、〈国会図書館本訓釈 蓐 爾口〉」(出典日本霊異記(810‐824)中)
    2. 「にくと思ひし苔にも初霜雪降り積みて、岩間に流れ来し水も、氷しにけり」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
  3. 羚羊(かもしか)異称。その皮が、敷物に適しているところからいう。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「うつぼにかけぬかはの事、にく、しま、牛、ねこのかは、からかはにはひつじ」(出典:岡本記(1544))

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【茵】より

…茵は昼の御座として畳の上に座布団として敷くほか,倚子(いし)や床子(しようじ)の上にも敷いて使った。寝るときに敷くものも〈しとね〉といい褥の字をあてているが,同じく〈しとね〉と呼ぶ理由は,古くは寝具も座具もきちんとした区別がなかったためと考えられる。【小泉 和子】。…

【寝具】より

…奈良時代から平安時代にかけての畳は長さ7,8尺ぐらい,幅3,4尺ぐらいで,薦4,5枚を重ねた上に藺や菅の蓆をかぶせ,縁をつけたものであった。そしてこの上にさらに褥(しとね)を敷いた。褥は上蓆(うわむしろ)ともよばれるが,絹織物または藺蓆を表に,真綿や菅を芯にして四周に縁をつけたものである。…

※「褥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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