(読み)ラン

デジタル大辞泉 「襴」の意味・読み・例文・類語

らん【×襴】

縫腋ほうえきほう半臂はんぴ小直衣このうしなどの裾に足さばきのよいようにつけた横ぎれ。すそつき。

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精選版 日本国語大辞典 「襴」の意味・読み・例文・類語

らん【襴】

〘名〙 縫腋(ほうえき)の裾に足さばきのよいようにつける横ぎれ。両脇ひだを設けるのを特色とし、半臂(はんぴ)や袍に付属するが、袍はひだを設けずに外部に張り出させて蟻先(ありさき)といい、ひだのあるのを入襴(にゅうらん)と呼んで区別した。
延喜式(927)二八「凡元日即位及蕃客入朝等儀、〈略〉自余隼人皆著大横布衫〈襟袖著両面襴〉、布袴〈著両面襴〉」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「襴」の意味・わかりやすい解説


らん

裳や裾の横にはぐ布のこと。それをつけることによって裾の開きが大きくなって歩行に便利なため,武官正装とされた縫腋の (ほう) や束帯内衣である半臂 (はんぴ) などにつけた。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【襖】より

…〈衣服令〉に位襖(いあお)と書かれているのがそれで,位階によって差別づけ,服色を分かった。これは襴(らん)(衣のすそにつけた細い裂)のない衣で,腋(わき)の開いたものであった(《令集解》)。後にはこれが闕腋袍(けつてきのほう)になった。…

【袍】より

…奈良時代から平安時代初期にかけての袍は身ごろも袖も細いものであったが,平安時代中期以降,服装の和様化,長大化によって,身ごろが広く,袖丈が長いものに変わった(図)。袍の形に2種あり,文官の用いるものは両脇が縫いふさがり,裾に襴(らん)がついた,有襴(うらん)の袍または縫腋袍(ほうえきのほう)といい,若年や武官の用いるものは両脇を縫いふさがず開いていて,襴をつけていないもので,(あお)とか無襴の袍,または闕腋袍(けつてきのほう)と呼んだ。なお,縫腋袍の前身ごろをたくし上げて,かい込みをする分だけ前もって後腰の部分をたくし上げて縫いとめたものを格袋(はこえ)と呼んでいる。…

※「襴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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