西大寺(岡山市の寺)(読み)さいだいじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西大寺(岡山市の寺)」の意味・わかりやすい解説

西大寺(岡山市の寺)
さいだいじ

岡山市東区西大寺にある高野山真言(こうやさんしんごん)宗の別格本山。金陵山(きんりょうざん)西大寺観音院(かんのんいん)と号する。本尊千手(せんじゅ)観音。中国観音霊場(1982開創)第1番札所。751年(天平勝宝3)周防国(すおうのくに)(山口県)藤原泰明の娘皆足(みなたる)姫の開基で、のち紀州(和歌山県)の安隆上人(しょうにん)によって当地に開山。初め犀戴寺(さいたいじ)と号したが、後年後鳥羽(ごとば)上皇の祈願から寺名を西大寺と改称した。現在の本堂は1863年(文久3)に再建され、正面12間側面14間の欅(けやき)造りで、県下随一の大きさを誇る。2月第3土曜に行われる会陽(えよう)(裸祭り。国指定重要無形民俗文化財)は天下の奇祭として有名で、その歴史は奈良時代に起因している。鐘楼門の銅鐘はおよそ1000年前新羅(しらぎ)から将来した貴重な文化遺産で、国指定重要文化財である。そのほか、絵巻物『紙本著色金陵山古本縁起』(県指定重要文化財)や多くの古文書がある。

[野村全宏]


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