日本大百科全書(ニッポニカ) 「西岡常一」の意味・わかりやすい解説
西岡常一
にしおかつねかず
(1908―1995)
宮大工。奈良県生まれ。法隆寺累代棟梁(とうりょう)西岡家3代棟梁楢光の長男。1924年(大正13)生駒(いこま)農学校卒業。1934年(昭和9)から1954年までの法隆寺の「昭和の大修理」で、世界最古の木造建築の金堂や五重塔など全伽藍(がらん)の解体修理を手がけた。以後、薬師寺金堂・西塔・中門などを再建、さらに薬師寺三蔵新伽藍の造営に尽力した。ほか各地の寺院修理にも携わり、1975年には斑鳩(いかるが)三古塔の一つ法輪寺三重塔の再建の棟梁を務めた。飛鳥時代の古代建築工法で大伽藍を造営できる「最後の宮大工棟梁」といわれた。著書に『法隆寺を支えた木』『木に学べ―法隆寺・薬師寺の美』『木のいのち 木のこころ』などがある。1974年吉川英治文化賞、1980年日本建築学会賞、1991年(平成3)みどりの文化賞などを受賞。1976年紫綬褒章(しじゅほうしょう)、1981年勲四等瑞宝章(ずいほうしょう)を受章。1992年文化功労者に選ばれた。1995年4月11日没。
[編集部]