西海道(さいかいどう)(読み)さいかいどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西海道(さいかいどう)」の意味・わかりやすい解説

西海道(さいかいどう)
さいかいどう

古代、律令(りつりょう)期における国の上部の地域単位である五畿(ごき)七道の一つ、およびそこに設定された官道の名称。西海道は九州にあたり、8世紀初頭ころには、筑前(ちくぜん)、筑後(ちくご)、豊前(ぶぜん)、豊後(ぶんご)、肥前(ひぜん)、肥後(ひご)、日向(ひゅうが)の7か国と壱岐(いき)、対馬(つしま)の2島からなっていた。702年(大宝2)までに薩摩(さつま)が、713年(和銅6)に大隅(おおすみ)が、いずれも日向から分置され、翌年国に準ぜられることになった多褹島(たねのしま)が824年(天長1)に大隅国にあわせられて九国二島が最終的に確定した。西海道諸国はすべて遠国に属し、大陸に近いため外交・国防上の重要地域であり、中央政府の縮小版的な大宰府(だざいふ)の統轄下に置かれた。官道もまた都から大宰府へのほか、大宰府から諸国へ放射するように設定され、『延喜式(えんぎしき)』(927成立)では合計97駅が所在したことが記されている。

[金田章裕]


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