沖縄県八重山(やえやま)列島の西表島中央部および石垣島北部などと、両島周辺の海域、島々を範囲とする国立公園。1972年(昭和47)、西表島と周辺海域が西表国立公園(当初陸域面積125.06平方キロメートル、海域面積321.0平方キロメートル)として指定され、2007年(平成19)、石垣島と周辺海域(陸域面積70.22平方キロメートル、海域面積約145.0平方キロメートル)が新たに指定・編入されて西表石垣国立公園と改称した。陸域面積は205.69平方キロメートル、海域面積は約458.13平方キロメートル。主要部は西表島の山地部および石垣島北部で、それぞれ西表・石垣両島の約3分の1の地域を占める。そのほかは、石垣島と西表島の間に広がる堡礁(ほしょう)および石西礁湖(せきせいしょうこ)とよばれる海域と、そこに点在する小浜島(こはまじま)、新城島(あらぐすくじま)、黒島、竹富島などである。また、西表島の南西約15キロメートルの海上に浮かぶ仲ノ神島は、海鳥の生息地として名高い。さらに、海域公園として竹富島タキドングチ、竹富島シモビシ、黒島キャングチ、新城島マイビシ(以上1977年指定)、平久保(ひらくぼ)、川平(かびら)石崎、米原(よねはら)、白保(しらほ)(以上2007年指定)の8か所がある。イシサンゴ類や熱帯魚類などの多彩な海生動物が生育する、日本最大のサンゴ礁海域である。西表・石垣両島は原始的自然の保持された島であると同時に、地形、地質、生物など亜熱帯特有の自然景観をもっている。とくに、西表島の浦内川、仲間(なかま)川河口のマングローブ林、浦内川中流のカンピラ滝、マリュード滝は特徴ある地形を呈する。また、石垣島には野底(のそこ)岳、於茂登(おもと)岳、川平湾のほかラムサール条約登録湿地である名蔵(なぐら)アンパルなど貴重な自然が残されている。この地域の原生林には、イリオモテヤマネコ(国指定特別天然記念物)、セマルハコガメ(国指定天然記念物)などの野生動物が生息するほか、カンムリワシ(国指定特別天然記念物)をはじめとする特殊鳥類も多い。さらに仲ノ神島はセグロアジサシ、オオミズナギドリなどの海鳥の大生息地となっている。
[目崎茂和]
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