見所(読み)けんじょ

精選版 日本国語大辞典 「見所」の意味・読み・例文・類語

けん‐じょ【見所】

〘名〙 (「けんしょ」とも) (主に能楽関係で用いられて)
花鏡(1424)舞声為根「見所より見る所の風姿は、我が離見也」
見物人観客
風姿花伝(1400‐02頃)二「こと葉を尋ね、品を求めて、けん所の御意見を待つべきをや」
③ 見所(みどころ)。目のつけ所。また転じて、その人の見方見解
※花鏡(1424)妙所之事「ただ、大かたの見物衆の見所(けんじょ)には、何とやらん面白きと見る見風あるべし」
④ 芸の上にあらわれるところ。
至花道(1420)皮・肉・骨の事「おのづから上手に出生したる瑞力の見所(ケンショ)を、骨とや申べき」
⑤ 芸の上で悟り得たところ。見抜いたところ。
※花鏡(1424)奥段「比外、覚者智によりて、又、別に見所あるべし」

みる【見】 所(ところ)

① 見る価値のあるところ。みどころ。
源氏(1001‐14頃)東屋「後見にもせまほしう、みる所ありて、思ひ始めし事なり」
② 見て思うところ。
随筆槐記‐享保一〇年(1725)正月九日「歌と茶をあれほどに忌まれしも、見る処ありてなるべき」

みせ‐どころ【見所】

〘名〙 とくに人に見せてやりたい得意な場面。見せるべき重要なところ。見せ場
※漫才読本(1936)〈横山エンタツ〉恋の学問彼女への好意を見(ミ)せどころやと」

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デジタル大辞泉 「見所」の意味・読み・例文・類語

み‐どころ【見所/見処】

見るべきところ。見る価値のあるところ。また、見落としてはならない点。「この映画の―」
今後を期待できる優れた点。将来性。「彼は―のある若者だ」
見て判断のよりどころとする点。めじるし。
「そこにはちっと―がござります」〈咄・無事志有意〉
けんじょ(見所)
[類語](1見せ場さわりハイライト正念場見せ所決め所圧巻/(2特長長所取り柄美点売り強み身上魅力持ち味特色特質特性本領売り物真価真骨頂真面目本調子セールスポイントチャームポイントストロングポイントメリット

けん‐じょ【見所】

《「けんしょ」とも》
見物席。観客席。また、見物人。主に能楽でいう。
芸の上で悟りえたところ。芸のみどころ。
目利きの見出だす―にあるべし」〈花鏡
見地立場
「親句、疎句の―をはなれ侍るべしとなり」〈ささめごと

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「見所」の意味・わかりやすい解説

見所
けんしょ

能楽堂の観客席。舞台の正面,向って左側の橋懸りの前の脇正面,両者の間の中正面の順に分けられる。地謡座の裏 (舞台の右側) に席のあるところもある。また観客をもいう。

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とっさの日本語便利帳 「見所」の解説

見所

能の見るべきところをいう。見物人または場所を指す場合もある。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内の見所の言及

【能舞台】より

… 江戸時代中期には舞台の規矩も制度化し,江戸城本丸表舞台が最高の格式をもつとされた。いずれにせよ,江戸時代の末までは,能舞台は屋外に設けられ,観客席(見所(けんしよ)という)は屋内にあっても,舞台との間に露天の部分を隔てるのを正式とした。しかし明治以後,能が幕府の保護を失ってからは,役者が所有する屋内の稽古(けいこ)舞台で公開の演能を行うようになった。…

※「見所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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