視感度(読み)しかんど(英語表記)luminosity efficiency factor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「視感度」の意味・わかりやすい解説

視感度
しかんど
luminosity efficiency factor

同じ強さの光でも,波長が違えば人間の眼に感じる明るさの感覚が違う。視覚に感じる明るさの度合いを表わす量が視感度であって,波長 λ ,強さ (放射束 ) Pλ (単位ワット) の光の明るさ (光束 ) が Fλ (単位ルーメン ) のとき,視感度は KλFλ/Pλ で与えられる。視感度は可視光線の波長領域 380~760nm の中央付近の波長で最大値をとり,両端へ近づくほど小さくなる。視感度 Kλ の最大値が Km のときに,比 VλKλ/Km で定義される比視感度により同じ強さの光によって感じる明るさの程度を光の波長ごとに比率で表わす。視感には個人差があるので,正常な視覚の多数の観測者に対する波長ごとの視感テストの結果から求めた平均の比視感度を標準比視感度とし,標準比視感度をもつ仮想的な観測者を設定して標準観測者という。標準比視感度は,物理的測定が不可能な感覚量である光の明るさを測定可能な物理量である光の強さから算出するための基準として,国際照明委員会 CIE が設定し,国際度量衡総会 (→国際度量衡委員会 ) の承認によって国際的に協約されたものである。標準視感度の最大値は波長 555nm で 680lm/W とみなされているから,標準比視感度 Vλ のとき標準視感度は 680Vλlm/W である。国際単位系SIでは標準比視感度を用いて任意の光源光度を定義し,これから光の明るさを表わす光束を誘導する。

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世界大百科事典(旧版)内の視感度の言及

【光束】より

…単位時間に伝搬される放射エネルギー(単位,W)を視感度で測ったもの。目の感度は光の波長によって大きく変わるので,感度を,一定の明るさの感覚を生ずる単色光のエネルギーの逆数で表し,これを視感度luminosity factorと呼ぶが,光束の測定では,1926年に国際照明委員会で決定された標準観測者のもつ視感度を用いる。…

【標準比視感度】より

…そして可視域内の光でも波長によって感ずる度合が異なり,700nmや400nmの光では相当強いエネルギーでも明るいと感じないし,550nmくらいの光では少しのエネルギーであっても明るいと感ずる。そこで光に対する視感覚の分光感度を考えることになるが,その分光感度を視感度といい,さらにその視感度のピーク値を1に正規化したものを比視感度と呼んでいる。 比視感度は光の視覚系にとっての強さを定める際にたいへん有効なものとなる。…

※「視感度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」