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解離性大動脈瘤(急性大動脈解離) 【かいりせいだいどうみゃくりゅうきゅうせいだいどうみゃくかいり】

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家庭医学館の解説

かいりせいだいどうみゃくりゅうきゅうせいだいどうみゃくかいり【解離性大動脈瘤(急性大動脈解離) Dissecting Aneurysm of the Aorta】
 
◎胸背部の激痛やショックなど
[どんな病気か]
 大動脈(だいどうみゃく)の壁に内膜亀裂(ないまくきれつ)(裂け目)が生じ、中膜(ちゅうまく)内に血液が流入し、大動脈が真腔(しんくう)と偽腔(ぎくう)(解離腔(かいりくう))に分離された状態を大動脈解離(だいどうみゃくかいり)といいます。発症後2週間以内のものは急性解離(きゅうせいかいり)といいます。
 解離はしばしば、大動脈が始まるところから腹部大動脈の分岐部(ぶんきぶ)を越え、その末梢(まっしょう)にまで達します。
 末梢側で再び解離腔と真腔とが交わり、解離腔が拡大して瘤(こぶ)になったものが慢性解離性大動脈瘤(まんせいかいりせいだいどうみゃくりゅう)です。
[原因]
 原因疾患としては、マルファン症候群(しょうこうぐん)などの先天性、家族性の結合織疾患(けつごうしきしっかん)のほかに、先天性心大血管奇形(せんてんせいしんだいけっかんきけい)、大動脈炎(だいどうみゃくえん)、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)、妊娠などによるものが報告されています。血管病変としては、中膜の弾性線維の断裂(だんれつ)が特徴の嚢状中膜壊死(のうじょうちゅうまくえし)があります。若い人に多くみられます。
●分類
 解離性大動脈瘤は、内膜亀裂部と解離腔の広がりによって分類されています。上行大動脈(じょうこうだいどうみゃく)より弓部大動脈(きゅうぶだいどうみゃく)に解離のあるものをA型大動脈解離(がただいどうみゃくかいり)、下行大動脈(かこうだいどうみゃく)のみのものをB型大動脈解離(がただいどうみゃくかいり)といいます。型によって治療法や予後が異なります。(図「解離性大動脈瘤の分類」
[症状]
 急性大動脈解離は、胸部あるいは背部にバットで殴(なぐ)られたような激痛がおこり、解離の進展につれて痛みは下方に移ります。いきなりショック状態となる人も少なくありません。多くは高血圧を合併します。
 解離した部位と解離の進展により、上行大動脈では大動脈閉鎖不全(だいどうみゃくへいさふぜん)がおこります。弓部(きゅうぶ)、下行大動脈では、主要分枝(ぶんし)の狭窄(きょうさく)、閉塞(へいそく)によって、左右上下肢(さゆうじょうかし)の血圧差、脳虚血症状(のうきょけつしょうじょう)(意識消失、四肢(しし)まひ)、腸管虚血症状(ちょうかんきょけつしょうじょう)(腹痛、下血(げけつ)、まひ性イレウス)、腎不全(じんふぜん)、下肢虚血症状(かしきょけつしょうじょう)などが併発することがあります。
 解離腔が破裂すると、心タンポナーデ(「心タンポナーデ」)や血胸(けっきょう)、また、大動脈弁閉鎖不全が進展すると、急性左心不全(きゅうせいさしんふぜん)をおこします。そして主要分枝の血流障害により諸臓器が虚血壊死(きょけつえし)をおこし、短期間のうちに死亡してしまいます。
[検査と診断]
 一般検査では特別な所見がないことが多いのですが、主要分枝の血流障害によって諸臓器(肝臓、腎臓(じんぞう))の機能不全がおこると、検査値の異常がみられます。
 胸背部の激痛は、急性心筋梗塞症(きゅうせいしんきんこうそくしょう)と同じ症状のため、区別重要ですが、心電図検査で判別できます。
 胸部X線写真では、心陰影の拡大所見や、胸腔内に浸出液がたまっているのがみられます。CTスキャン検査をすると、大動脈が分割されたような画像がみられ、解離腔の大きさや範囲判定に役立ちます。
 超音波断層法は、解離腔の大きさ、内膜片の動き、大動脈弁輪部の病変、心嚢内血液貯留(しんのうないけつえきちょりゅう)の有無などが判断できます。ベッドサイドで手軽に行なえるため、手術時期の判定にも役立つたいへん有用な検査法です。最近は、食道を介して行なう超音波断層法を併用して、胸部の全大動脈の性状がより手軽にわかるようになっています。
 大動脈造影もたいへん重要な検査です。これによって、内膜亀裂部、解離の範囲、真腔と解離腔との関係、大動脈弁閉鎖不全の評価、大動脈主要分枝と解離腔との関係、分枝の閉塞や狭窄の状態などの判定や治療方針決定ができるからです。
◎手術治療が原則
[治療]
 解離性大動脈瘤は、きわめて重篤(じゅうとく)な経過をたどる疾患で、発症から24時間で20%、1週間で60%、3か月で90%が死亡するとされています。(表「解離性大動脈瘤の自然予後」
 急性解離の治療は、まず痛みを和らげ、大動脈の収縮期血圧を100~120mmHg以下に維持することを目標に、濃厚な薬物療法が行なわれます。そして、できるだけ早く治療方針を決め、手術するようにします。
 A型急性解離では、大動脈弁閉鎖不全による左心不全や、解離腔に拡大傾向がある場合、ただちに手術するべきです。かりに血圧が安定しており、左心不全や解離腔の拡大傾向がなくとも、瘤破裂や心タンポナーデの予防のため、2週間以内の手術が勧められます。
 B型解離の場合は、降圧療法を行なって、経過観察されることもあります。しかし、血圧が安定せず、解離腔が拡大する傾向があるときは、ただちに手術を行なうべきです。手術法には、解離腔を閉鎖するだけのものと、解離がある血管を人工血管に置き換えるものとがあります。
 大動脈弁閉鎖不全を合併した場合は、弁形成(べんけいせい)や人工弁(じんこうべん)つき人工血管置換術が行なわれます。この手術の補助手段は、手術内容により異なりますが、超低体温循環停止法(ちょうていたいおんじゅんかんていしほう)または脳分離完全体外循環法(のうぶんりかんぜんたいがいじゅんかんほう)が行なわれます。
[日常生活の注意]
 手術は、破裂防止および急性左心不全の治療のために行なわれますが、手術後も解離腔が残存していることを念頭において日常生活をおくるべきです。もっとも重要なのは血圧コントロールで、禁煙、減塩食、降圧療法を積極的に実施し、継続しなければなりません。激しい運動は避けましょう。


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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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