言做・言為(読み)いいなす

精選版 日本国語大辞典 「言做・言為」の意味・読み・例文・類語

いい‐な・す いひ‥【言做・言為】

〘他サ四〙 (「なす」は強いてそのようにするの意)
事実そうでないことを、事実らしく言う。
(イ) 事実とは違うことを言いこしらえる。
※後撰(951‐953頃)恋二・六二一「あまの戸をあけぬあけぬといひなしてそら鳴きしつる鳥の声かな〈よみ人しらず〉」
(ロ) よい(または、わるい)結果をもたらすように言う。とりなして言う。言いつくろう。
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「いさや、うたてきこゆるよなれば、人もやうたていひなさんとてぞや」
(ハ) ある事物を他の事物にたとえて表現する。事実を比喩的に表わす。
※燈前夜話(15C後)上「瑤池桃花が此馬の毛に落て、今まであったげなと作たは、料簡して云ないたぞ」
② ことさらに強調して言う。言い立てる。
※枕(10C終)八四「殿上人などの来るをも、やすからずぞ人々はいひなすなる」

いい‐なし いひ‥【言做・言為】

〘名〙
① それらしく言いこしらえること。こしらえごと。また、告げ口
拾遺愚草(1216‐33頃)中「みよし野の春もいひなしのそらめかと分け入る峰ににほへ白雲
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一〇「賈が云なしによって先祖丘墓を打捨て他国したは口惜し」
② 仲に立ちうまく話して事をまとめたり、おさめたりすること。とりなし。
浄瑠璃薩摩歌(1711頃)上「此人のいひなしとはいひつ縁次第仕合次第」
③ 言い方。
※談義本・根無草(1763‐69)前「つまる処は能くも悪くもいひなし次第の浮世にて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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