訓練(読み)クンレン

デジタル大辞泉 「訓練」の意味・読み・例文・類語

くん‐れん【訓練】

[名](スル)
あることを教え、継続的に練習させ、体得させること。「きびしい訓練にたえる」「訓練して生徒を鍛える」
能力・技能を体得させるための組織的な教育活動のこと。「職業訓練
[用法]訓練・練習――「訓練(練習)を積む」などでは相通じて用いられる。◇「訓練」はある技術について教え込み、身につけさせることだが、「練習」は自らが繰り返したり、工夫したりして技術の向上をはかることをいう。「教官は練習生に対して訓練を開始した」「よく訓練された盲導犬」「短距離走のスタートの練習をしている」などの「訓練」「練習」は互いに置き換えることはできない。◇類似の語に「稽古けいこ」がある。「稽古する」は「練習する」の意、「稽古をつける」は「訓練する」の意で、主に武術芸事などに関して、「寒稽古に励む」「お茶の稽古に通う」などと用いる。
[類語]練習稽古トレーニング習練特訓エクササイズリハーサルらし下稽古したげいこ温習おさらい演習ゼミナールフィールドワークレッスンゲネプロ寒稽古通し稽古舞台稽古立ち稽古稽古事鍛錬練磨練成修業修練教練試練

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精選版 日本国語大辞典 「訓練」の意味・読み・例文・類語

くん‐れん【訓練】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 教えこんで慣れさせること。特に、習慣や能力、技能などを体得させ発展させる組織的な教育の活動をいう。〔音訓新聞字引(1876)〕
    1. [初出の実例]「元来から行儀のよくない髯(ひげ)で〈略〉主人もここに鑑みる所あって近頃は大に訓練を与へて」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九)
    2. [その他の文献]〔新唐書‐郝廷玉伝〕
  3. 軍隊や工場などでの実地教育の総称。また、軍事教練などの類。
    1. [初出の実例]「彼は訓練に於ても学課に於ても、別によい成績をとろうとはしなかった」(出典:真空地帯(1952)〈野間宏〉六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「訓練」の意味・わかりやすい解説

訓練
くんれん
training

適当な身体運動的、知的、社会的技能を獲得させるためにプログラム化した活動で、教示試行点検などの操作が含まれる。狭い意味では、動物にある種の行動を形成させるために行う活動で、報酬(餌(えさ)など)を与えて行動形成を行う場合には報酬訓練、また、ある種の行動を除去するために罰を加える場合には回避訓練、逃避訓練などとそれぞれ称される。人間の幼少時の訓練で、特定の行動を取捨選択させる場合は「しつけ」といわれることもある。

 また、産業面では職業訓練、企業内訓練などということがある。これは、職業、企業内活動の事前に、ある期間、技能を研修することをさすが、近来は単に直接の技能の研修に限らず、対人関係、管理能力、創造性の開発など広範囲の、企業内過程の変化に対応する能力の研修が図られている。

 臨床面では、本格的治療やカウンセリングに入る前に行われる予備的分析や準備過程をさしていう。精神分析でいう訓練分析、心理劇psycho dramaでいう自発性訓練などがこれにあたる。

[小川 隆]

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普及版 字通 「訓練」の読み・字形・画数・意味

【訓練】くんれん

兵を教練する。唐・杜甫〔章十侍御に奉寄す〕詩 指麾(しき)能事、天地を迴(めぐ)らし 訓強兵、鬼を動かす

字通「訓」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「訓練」の意味・わかりやすい解説

訓練
くんれん
training

訓 (な) れるまで教え,練習させること。教育用語としては「教授」に対して用いられ,「訓育」とほぼ同義に使われる。教授が主として知識伝達と習得を目的とする知的作用であるのに対し,訓練はおもに道徳性の涵養を目的とする実践的,意志的作用である。訓育よりは実際的,身体的な意味合いが濃い。特にきびしさが強調される場合には「鍛練」などとも称される。

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