デジタル大辞泉
「説明」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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せつ‐めい【説明】
- 〘 名詞 〙
- ① ある事柄の内容・理由・意義などを、よくわかるように述べること。
- [初出の実例]「主客に関する議論の如きは〈略〉仔細に説明なすべければ」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下)
- 「如何(どん)な関係でもよろしい、それを今説明する必要は無い」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
- ② 哲学で、ある現象が因果関係によってある法則に従うことを推論によって示すこと。理論を確定したり、一般命題を立てる手続き。
とき‐あかし【説明】
- 〘 名詞 〙 物事の意味をよくわかるように述べること。解説。せつめい。
- [初出の実例]「其書物に何故にそうほかには扱はれず、他に仕様はないといふ説き明しでもある事か」(出典:颶風新話(航海夜話)(1857)初)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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説明 (せつめい)
explanation
説明とは,広義には〈わからせること〉であり,言葉の意味の説明はその一例である。また数学における証明も,説明の一種である。しかし一般には,説明として〈科学的説明scientific explanation〉が考えられることが多い。科学的説明には,事象についての説明と法則についての説明がある。事象についての説明とは,ある事象について,なぜそれが起こったのかを明らかにすることである。そしてそれは一般に,法則に基づいてその事象の成立過程を記述することによって行われる。なぜなら,ある事象について,なぜそれが起こったのかが問題となるのは,その事象の成立過程の必然性が明らかでないからである。しからば法則についての説明はどうか。個々の事象についての説明を一般化して,〈その種の事象〉についての説明とすれば,それは法則についての説明となる。なぜなら,その場合には,その種の事象についての一般的な説明は,法則に基づいてその種の事象の成立過程を一つの法則として記述することになるからである。したがって科学的説明においては,説明とは法則に基づいた〈記述〉にほかならないということになる。
しかし実は,法則についての説明には,それとは異なった種類の説明がある。熱力学の統計力学による説明などがそれである。そして一般にはこの種の説明は,理論についてのより高次の理論による説明であり,人間の知識における重大な前進であると考えられている。しかしこの種の説明が説明といえるか否かには問題がある。なぜならこのような場合,説明される理論と説明する理論の間には,概念上の断絶があるからである。両者は基本的に異なった概念組織に基づいており,したがって一方の理論から他方の理論は出てこない。この問題は理論間の〈通約(共約)不可能性〉の問題といわれ,最近の科学哲学の中心問題の一つである。もしこの種の説明が実は説明ではないとすれば,例えば心理学における理論についての大脳生理学の理論による説明などは,実は説明ではないということになり,その影響するところはきわめて大きい。
執筆者:黒崎 宏
説明と理解
日本語では区別がつけがたいが,人文科学においてテキストやその背景をなす心理や精神を説明する行為は,〈理解〉または〈了解〉(英語understanding,ドイツ語Verstehen)と呼ばれることが多い。テキストを〈わかる〉もしくは〈わからせる〉ことである。ディルタイは〈自然に対してわれわれは説明をするが,心的生活は理解する〉と述べている。説明の対象は〈事実〉であるが,理解の対象は〈意味〉である。過去のテキストはことばづかいひとつを取っても異質であり,そのまま理解できるものではなく,辞書その他の手段やさまざまな方法を用いて,その意味や構成を特定しなければならない。これは〈解釈interpretation〉と呼ばれ,その集積が理解をもたらす。だがその手順は簡単ではない。外国語の文章が好例であるが,文全体の理解のためには,部分である単語を理解していなければならないし,逆に単語の意味を確定するためには文の全体をある程度は理解していなければならない。全体と部分のあいだのこの関係は〈解釈学的循環〉と呼ばれる。こうした循環を踏まえた理解の技術は解釈学と称され,プロテスタント神学,法解釈学,文献学などの中で精緻な展開を見ている。
だがこうした全体と部分の循環関係は,単にテキスト理解においてのみ起きているのではなく,過去の文化的所産に立ち向かうわれわれが置かれる基本構造でもある。いや,もっと一般的に他者の発言を理解しようとする対話の場でも認められる。対話においてわれわれは相手を説明し,腑分けするのではなく,理解しようとするのである。ここには,自然科学的説明とは異なり,日常の対話的言語に深く根ざし,循環構造を前提とした人文科学的な理解の基盤がある。それゆえ,科学的説明のように,記述言語と,記述によって説明される事実との区別はなく,理解するための言語も,理解される言語も同じ次元に立っている。小説の理解を考えればこの点は明らかであろう。19世紀の解釈学を拡大させたハイデッガーやガダマーの立場からいえば,われわれは,単に歴史に対してのみでなく,世界一般に対してまずは理解する(つまり自分自身に対して世界を開く)存在であり,そのつどの世界理解に応じて,神話も,宗教も,そして説明を重んじる自然科学も成立する。それゆえ,説明は理解の一形式,それも欠陥形態に過ぎなくなる。こうした議論は広く解釈学的反省と呼ばれているが,それに対しては分析哲学の立場からの批判も強い。
→了解
執筆者:三島 憲一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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