仏教用語。「じょうぶく」とも読む。自身の悪心を抑え除き、善心とすること。対外的には敵意あるものを教化して悪心を捨てさせ、害をもたらすものを打ち破ること。サンスクリット語のアビチャールカabhicāraka(阿毘遮嚕迦(あびしゃるか)と音写)の意訳。降伏(ごうぶく)ともいう。密教修法では四種法(あるいは五種法)の一とされ、行ずる者自身の煩悩(ぼんのう)、あるいは悪行為を行う者の貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)の三根本煩悩、ならびにそれによる行為を取り除き、福楽を獲得させようとするものをいう。その方法には五大明王などの法を修する護摩(ごま)法がある。すなわち、行ずる者自ら面を南に向けてうずくまって座り、身に黒色あるいは青色の衣を着け、飲食および供養物もまた、黒色あるいは青色のものを用い、黒月(月の後半)の23日または24日の正午あるいは中夜のときから始める法である。
[小野塚幾澄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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