調庸布(読み)ちょうようふ

世界大百科事典(旧版)内の調庸布の言及

【古代社会】より

…成年男子に対する調・庸・雑徭,17歳から20歳にいたる男子に対する中男作物(ちゆうなんさくもつ),6歳以上の男女に支給した口分田に対してかけられた田租などがあり,これらは一応一人一人の名前を限定して租税が賦課されたので,個別人身支配と称されている。もっとも,それぞれの租税が,まったく個人の力量でもっておさめられたわけではなく,調庸布などは1人の人間の織り幅より布の幅が大きいことからみて,族長層を指導者とする協業によってつくられた可能性が指摘されているし,中男作物の多くは海産物ないし採取労働にもとづくもの,簡単な手工業(木工)などによる品目が収取されたが,これら中男作物につけられた荷札(平城宮跡等で出土する遺物の一つ,木簡と称され,一群に租税物資の荷札がある)は郡・郷までを記載するものが多く,個人名のものが少ないところから,若年層の協業にもとづいて貢納されたものと思われる。また,8世紀代は当然,農耕を基本とする社会であったが,調や中男作物にみられるように,人々の生活と同時に租税も採取労働や漁労労働に依拠していた部分が残っていたことが知られる。…

※「調庸布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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