識名盛命(読み)しきなせいめい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「識名盛命」の意味・わかりやすい解説

識名盛命
しきなせいめい
(1651―1715)

近世沖縄の和学者。名は盛命、氏は毛(もう)、唐名は起龍(きりゅう)、字(あざな)は思五良(うみぐら)、雅号は瑞雲(ずいうん)と称した。首里の伊野波(いぬふぁ)家に生まれ、尚質(しょうしつ)から尚敬(しょうけい)に至る5代の国王に歴仕し、功績をあげた。1688年には進貢正使として清(しん)国に派遣され、薩摩(さつま)には三度も使し、政治家最高の三司官も務めている。しかし、識名は政治家としてより和学者として著名である。薩摩に使したときの紀行文『思出草(おもいでぐさ)』上中下3巻(1700)は和文で書かれ、擬古文体名文である。『おもろさうし』書き改めと、古辞書『混効験集編纂(へんさん)にもかかわっている。

外間守善

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朝日日本歴史人物事典 「識名盛命」の解説

識名盛命

没年:尚敬3.10.23(1715.11.18)
生年:尚質4.12.19(1652.1.29)
近世琉球の政治家,和文学者。唐名を毛起竜という。父も兄も三司官(本土家老に相当する首里王府の要職)を務め,盛命も尚貞34(1702)年から10年間三司官だった。同31(1699)年7月年頭慶賀使として薩摩へ上り,翌年10月までの滞在中の見聞を,和歌66首を含む和文の紀行文『思出草』にまとめる。これは,和文学に対する深い教養に裏打ちされており,洗練された文体は高く評価されている。三司官在任中『おもろさうし』や琉球古語辞典『混効験集』,『女官御さうし』や『琉球国由来記』などが編纂され,こうしたものに対する推進者だったと思われる。

(池宮正治)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「識名盛命」の解説

識名盛命 しきな-せいめい

1652*-1715 琉球の政治家,和文学者。
尚質王4年12月19日生まれ。尚質王から5代の国王につかえ,政治家最高位の三司官となる。紀行文「思出草」は擬古文体の和文として評価がたかい。「おもろさうし」の再編集,「混効験集」編集にもかかわった。尚敬王3年10月23日死去。65歳。唐名は毛起竜。字(あざな)は思五良(うみぐら)。号は瑞雲。

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367日誕生日大事典 「識名盛命」の解説

識名盛命 (しきなせいめい)

生年月日:1651年12月19日
江戸時代前期;中期の琉球の政治家;和文学者
1715年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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