豊けし(読み)ユタケシ

デジタル大辞泉 「豊けし」の意味・読み・例文・類語

ゆた‐け・し【豊けし】

[形ク]
ゆったりしている。
海原の―・き見つつあしが散る難波に年は経ぬべく思ほゆ」〈・四三六二〉
盛んである。盛大である。
最勝王経金剛般若寿命経など、いと―・き御祈りなり」〈・若菜上〉
豊かである。富み栄えている。
「かくばかり―・き年にいなむらの山田守をば又もあひきや」〈夫木・二〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「豊けし」の意味・読み・例文・類語

ゆた‐け・し【豊けし】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「けし」は接尾語 )
  2. 豊かである。裕福である。栄えている。繁栄している。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「かくばかりゆたけき年にいなむらの山田守をば又もあひきや〈藤原資宣〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)二〇)
  3. 盛んである。盛大である。すばらしい。すぐれている。
    1. [初出の実例]「最勝王経・金剛般若・寿命経など、いとゆたけき御祈りなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  4. 広々としている。ゆったりしている。のどやかである。
    1. [初出の実例]「白たへの手本(たもと)寛久(ゆたけク)人の寝る熟睡(うまい)は寝ずや恋ひ渡りなむ」(出典:万葉集(8C後)一二・二九六三)
  5. 気持態度ゆとりがあって、おおらかである。
    1. [初出の実例]「大の浦のその長浜に寄する波寛(ゆたけき)君を思ふこの頃」(出典:万葉集(8C後)八・一六一五)
  6. ふっくらとしている。豊満で美しい。

豊けしの派生語

ゆたけ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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