豊前坊(読み)ぶぜんぼう

日本歴史地名大系 「豊前坊」の解説

豊前坊
ぶぜんぼう

[現在地名]添田町英彦山

たか山の西方、国道五〇〇号の南に位置する。建保元年(一二一三)七月八日の彦山流記(高千穂家蔵)にみえる彦山四九窟の一八番目の「豊前窟」(守護神は憐愍童子)、およびそこに建てられた坊社の総称。現在、坊社は高住たかすみ神社ともよばれる。往古の修験道の修行の窟寺であったと考えられる。「太宰管内志」には「豊前坊社」とみえ、同書が引く彦山記では「鷹栖ノ宮」ともいわれた。彦山記(高田家所蔵英彦山修験道文書)によると、豊前坊は山の北の鷹巣たかす(高天原)にある一〇〇丈ばかりの岩窟で、役行者が三季入峰を修し、蔵王権現が至現したものという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の豊前坊の言及

【天狗】より

…能楽では《鞍馬天狗》《葛城天狗》《松山天狗》《是界(せがい)》《第六天》《大会》《車僧》などの曲があり,そのなかに著名な山の天狗が出てくる。すなわち彦山の豊前坊,白峯の相模坊,大山の伯耆坊,鞍馬の大僧正,愛宕山の太郎坊などで,今も庶民信仰の対象となっていて,本社,本寺に並んで信者が多いところもある。また昔話,伝説のなかにも天狗を物語るものが多いのは,それだけ庶民に親しまれる存在だったからである。…

※「豊前坊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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