デジタル大辞泉
「豚インフルエンザ」の意味・読み・例文・類語
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「豚インフルエンザ」の意味・わかりやすい解説
豚インフルエンザ【ぶたインフルエンザ】
A型インフルエンザウイルスによるブタの感染症で,ブタはヒト,トリのA型インフルエンザに容易に感染する。2009年4月にメキシコに端を発して世界的な流行となったヒト間の感染症を,当初,豚インフルエンザと呼んでいたが,現在は〈2009年新型インフルエンザ〉もしくはたんに〈新型インフルエンザ〉と呼ばれている。このインフルエンザウイルスはA型のH1N1亜型とされ弱毒性ながら強い伝染力を持つとされている。ヒト間の伝染能力をもつようになったのは,遅くとも2009年3月メキシコにおいて,と考えられ,その後瞬く間に米国,カナダ,欧州,日本,中国に感染が拡大,2009年7月1日現在の感染確認事例は120ヵ国7万7021人(死亡332),そのうち米国2万1449人(死亡87),メキシコ8279人(死亡116人),カナダ6732人(死亡19)などとなっている。日本は,5月に兵庫,大阪を中心に感染が拡大,7月9日現在2126人の感染者が出ている。世界保健機関(WHO)は4月〈国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態〉に該当すると表明,世界的流行の警戒水準を4月27日にフェーズ3からフェーズ4に引き上げ,さらに同月29日にはフェーズ5に引き上げて,各国に警戒を呼びかけた。感染の速度と地域的拡大が急速なものであったことによる。WHOは6月には,警戒水準最高度のフェーズ6,パンデミック(世界的大流行)を宣言,その後も感染は拡大し続けている。症状は,37.8度以上の発熱,咳,喉の痛み,鼻水,頭痛など。日本の医療機関の対応としては,厚生労働省は当初,地方自治体の協力を得て,発熱相談センターの設置と発熱外来機能を持つ病院での受診を指導。6月には感染拡大の沈静化を受けて,原則すべての診療機関で受診可能とする方針に改めた。ただし感染拡大防止のために,診察時間をずらしたり,発熱外来や発熱相談センターへの電話相談を受ける体制は維持されている。治療としては,世界的にタミフルやリレンザが有効であることが証明されているが,2009年6月には,早くもタミフルに耐性を持つウイルスが出現していることが確認されており,今後このウイルスがヒト・動物間,ヒト間の感染を繰り返すなかでどのような耐性をもつものに変化していくかが重視されているのと,2009年の南半球の冬期での感染拡大が懸念されている。
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「豚インフルエンザ」の解説
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