普及版 字通 「貝(漢字)」の読み・字形・画数・意味
貝
常用漢字 7画
[字訓] かい
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
子安貝の形。子安貝は古くは呪器とされ、また宝貝とされた。〔説文〕六下に「の介蟲なり。陸に居るものを(へう)と名づけ、水に在るものを(かん)と名づく。象形。古は貝をとし、龜を寶とす。よりして泉り。秦に至りて貝を廢して錢を行ふ」という。卜文・金文の貝の字形は子安貝。金文の賜与に「貝三十」「貝五十」のようにいい、〔詩、小雅、者〕に「我に百を錫(たま)ふ」の句がある。(朋)は前後両系に貝を綴じたもので、金文にはこれを荷(にな)う図象の銘識がある。またその十数朋を以て彝器の製作の費用に充てることを記す銘文もあり、当時はなはだ貴重なものであった。子安貝の原産地は沖縄であったと考えられ、これを入手することはかなり困難であったらしく、殷・周期の装飾品には、玉石を以てその形に模したものが多い。のちの財宝関係の字は、多く貝に従う。
[訓義]
1. かい、かいがら。
2. かね、貝朋。
3. かざり。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕貝 加比(かひ)。水物なり 〔名義抄〕貝 カヒ・カヒツモノ
[部首]
〔説文〕に・賄以下五十八字、〔新附〕に九字を加え、〔玉〕には百四十三字を収める。また〔説文〕に敗・(賊)など、他部に収めるものがある。質・貳(弐)・敗・などに含まれる貝は、もと鼎に作り、その簡化したもので、本来貝部に属すべき字ではない。
[声系]
〔説文〕に貝声として・・敗など四字を収める。は「行獵跋」、うろたえる意で、のちの狽にあたる。金文の図象に、犬の尾に貝を加えた形のものがある。
[熟語]
貝貨▶・貝殻▶・貝玉▶・貝錦▶・貝闕▶・貝甲▶・貝子▶・貝歯▶・貝字▶・貝書▶・貝城▶・貝石▶・貝多▶・貝帯▶・貝帙▶・貝冑▶・貝典▶・貝文▶・貝幣▶・貝編▶・貝朋▶・貝梵▶・貝葉▶・貝勒▶
[下接語]
貨貝・綺貝・亀貝・吉貝・金貝・紫貝・珠貝・織貝・蜃貝・文貝・編貝・宝貝・梵貝・螺貝
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報