日本大百科全書(ニッポニカ) 「貫(質量の単位)」の意味・わかりやすい解説
貫(質量の単位)
かん
尺貫法の質量の基本的な単位。3.75キログラムの質量をいう。日本固有の単位で1000匁(もんめ)を1貫とする。匁は、621年に鋳造された唐の開元通宝(かいげんつうほう)銭1文の質量で、中国では銭であるが、日本では中世以後、1文の目方ということから文目(もんめ)とよばれるようになり、銭の別字「泉」の草書の匁をあてた。この穴あき銭1000枚を紐(ひも)で連ねたものを1貫とよんだ習慣から、これを質量の単位とするようになった。もともと中国の基本的な質量の単位は唐以来斤(きん)であるが、1斤が160匁ということから十進法でない不便さのため、日本では貫にかわった。1891年(明治24)度量衡法を制定するにあたって、貫は、切りよくキログラムの4分の15(3.75倍)とされ、今日に至っている。ただ通貨の場合の貫は変化があり、江戸時代には960文を1貫とした。また、禄高(ろくだか)の場合の貫は10石(こく)にあたる。
[小泉袈裟勝・今井秀孝]