賭博罪(読み)トバクザイ

デジタル大辞泉 「賭博罪」の意味・読み・例文・類語

とばく‐ざい【賭博罪】

偶然の勝負に関し、財物を賭ける罪。刑法第185条が禁じ、50万円以下の罰金または科料に処せられる。単純賭博罪
[補説]関連する罪に、常習賭博罪賭博場開張等図利罪富くじ発売等罪などがある。競馬競輪競艇などは、それぞれ競馬法自転車競技法モーターボート競走法などで認められた賭博なので、刑法第35条の正当行為となり本罪にはあたらない。また、飲食物やその代金などを賭ける程度の場合は罪とならない。

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共同通信ニュース用語解説 「賭博罪」の解説

賭博罪

刑法では賭博をした者は50万円以下の罰金または科料にするとしている。常習賭博の場合は3年以下の懲役、賭博場を開くなどして利益を図った場合は3月以上5年以下の懲役が科せられる。競馬や競輪などの公営ギャンブル適用の対象外となるほか仲間内の娯楽としてジュースやお菓子などの物を賭けた場合は処罰の対象とはならない。

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精選版 日本国語大辞典 「賭博罪」の意味・読み・例文・類語

とばく‐ざい【賭博罪】

  1. 〘 名詞 〙 財物をかけて偶然性のからむ勝負をすることによって成立する罪。刑法一八五条に規定

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改訂新版 世界大百科事典 「賭博罪」の意味・わかりやすい解説

賭博罪 (とばくざい)

刑法上賭博とは,偶然の勝敗によって財物の得喪を決することで,当事者が勝敗を決する博戯と,単に予想の的中を争う賭事とがあるが,区別の実益はない。賭博は適度に行われれば娯楽と射幸という人間の欲求をほどよく満たすものであるが,賭博への耽溺は日常的な勤労意欲を麻痺させ健全な経済社会運営を混乱させるとともに,副次的な犯罪を誘発し,しばしば暴力団の資金源となる性格をもっている。そこでどの範囲で賭博行為を容認し,あるいは処罰の対象とするかは難しい問題であるが,日本では前記の悪弊を理由に賭博行為一般を風俗犯として刑法で処罰しつつ〈一時の娯楽に供する物を賭〉す場合を例外として許容するとともに,政府あるいは地方公共団体が競馬・競輪・宝くじなどの事業を推進あるいは主催することにより国民の欲求を吸収し,健全な運営とその収入による公共の福祉の増進とを図る政策をとっている。

 沿革をたずねても,8世紀の禁令が徒衆を組んで双六賭博にふけり家業を滅ぼすことを戒め,鎌倉・江戸時代の禁令も田畑宅財の賭けを禁じており,おおむね賭博行為自体を禁ずる趣旨がうかがわれ,明治初年に制定された仮刑律,新律綱領,旧刑法でもこの方向をとった。

 現行刑法上賭博罪は,単純賭博罪(185条。刑は50万円以下の罰金または科料に処せられる),常習賭博罪(186条1項。刑は3年以下の懲役),賭博場開張罪(同条2項前段。刑は3ヵ月以上5年以下の懲役),博徒結合罪(同項後段,3ヵ月以上5年以下の懲役)から成り,同質の罪として富くじ発売罪(187条1項。刑は2年以下の懲役または150万円以下の罰金),取次罪(同条2項。刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金),授受罪(同条3項。刑は20万円以下の罰金または科料)がある。これに対し西欧諸国では,日本よりも狭く,賭博場の開設や公衆の出入りできる場所での賭博行為などに限って処罰するのが一般である。そこでこの限度まで非犯罪化(ディクリミナリゼーション)すべきだとの主張もある。〈一時の娯楽に供する〉とはその場での飲食等を賭ける場合にとどまり,金銭の場合は少額でもこれにあたらないとされ,また公益ギャンブルが需要拡大・創造し,賭博が社会的害悪であるとの意識が希薄化されている点を思えば理由のないことではない。ただ運用の実際はこれらの主張と大きく隔たってはいない。賭博罪による有罪人員は,おそらく検挙方針の変化を理由に戦後数年で急激に低下し,昭和50年代以降は年5000~7000人程度とかつての10分の1近くである(1990年代に入ってからは年1000人以下である)。ほかに,のみ行為等を処罰する競馬法等の違反がほぼ同数程度ある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「賭博罪」の意味・わかりやすい解説

賭博罪
とばくざい

賭博、すなわちギャンブルをしたり、これに関与する罪。射幸心は人間の一種の本能であり、賭(か)け事は庶民の日常的な娯楽として広く行われているが、庶民的な娯楽の境を越え一攫(いっかく)千金を夢みたり、賭け事に熱中すると、労働意欲が失われ、家庭崩壊にもつながるおそれがあることも否定できない。そこで、現行刑法は賭博罪を設け、50万円以下の罰金または科料に処するとともに、常習的に賭博をすれば3年以下の懲役に、賭博場の開帳や博徒の結合により利益を図る行為をすれば3月以上5年以下の懲役に処している(刑法185条、186条)。

 しかし、競馬、競輪、競艇、オートレース等の公営ギャンブルを広く公認しながら、たとえば非常習的な賭け麻雀(マージャン)など広く行われている庶民のささやかな賭け事をも本罪により一律に処罰することは実情にあわない。そこで、実務上も、とくに単純賭博については取締りや処罰が徹底しているわけではない。

[名和鐵郎]

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百科事典マイペディア 「賭博罪」の意味・わかりやすい解説

賭博罪【とばくざい】

偶然の勝負に関し財物をもって博戯(ばくち)または賭事をする罪(単純賭博罪,刑法185条)。刑は50万円以下の罰金・科料。一時の娯楽に供する物をかけたときは本罪は不成立。このほか常習賭博罪は3年以下の懲役,賭博場を開帳して利を図った者(賭博場開張罪),または博徒を結合して利を図った者(博徒結合罪)は,3月以上5年以下の懲役(刑法186条)。
→関連項目賭博

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賭博罪」の意味・わかりやすい解説

賭博罪
とばくざい

偶然の勝負に関し,博戯または賭け事によって財物の得喪を決める行為をする罪 (刑法 185) 。国民一般の健全な経済観念,勤労意欲を保護するための立法である。勝負が技術の優劣によることが大きい場合でも偶然の要素があれば (賭け碁など) ,やはり罪になる。もっとも,一時の娯楽にするため,その場での飲食物を賭けるなどしても賭博罪にはならない。常習として博戯または賭け事をした者は常習賭博罪として刑が加重される。

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