精選版 日本国語大辞典 「足子」の意味・読み・例文・類語
あし‐こ【足子】
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室町・戦国時代,座商人などの依頼をうけて商品の運搬などに従事したり,座商人に一定の貢納を行って行商の権利を与えられた小商人。《今堀日吉神社文書》などによれば,近江の蒲生,神崎,甲賀の諸郡,湖北から若狭に至る九里半街道沿い,伊勢の北部地方には多数の足子が散在していたことがわかる。近江の蒲生郡得珍保(とくちんのほ)(現滋賀県東近江市,旧八日市市)のいわゆる保内座商人は若狭,伊勢,京都地方との隔地間取引に従事していたが,行商に際しては周辺地域に居住する数十名の足子を動員した。また伊勢行商に際しては伊勢の桑名,四日市,梅戸,丹生川などに分布する20名近くの足子を駆使していた。彼らは近江の保内座商人の伊勢行商に際しての商品運送,商売の下請,桑名,四日市の問屋と近江商人との仲介,斡旋などの役割を果たしたものと思われる。彼らが足子商人として商売する場合は,蒲生郡下大森郷足子が,保内座商人に年貢銭400文を納付している例から考えて,一定の納付金を特権的座商人に納めることを強制されていたものと考えられる。
執筆者:佐々木 銀彌
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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