路傍の石(読み)ろぼうのいし

精選版 日本国語大辞典 「路傍の石」の意味・読み・例文・類語

ろぼうのいし ロバウのいし【路傍の石】

小説山本有三作。昭和一二~一五年(一九三七‐四〇)にかけて発表したが、検閲圧迫中絶し、昭和一六年刊行した。主人公愛川吾一が逆境にあって矛盾した社会の中で悩みながら誠実に生き成長していく姿を描く。作者の自伝的一面をもった作品

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デジタル大辞泉 「路傍の石」の意味・読み・例文・類語

ろぼうのいし〔ロバウのいし〕【路傍の石】

山本有三の小説。昭和12~15年(1937~1940)発表。官憲干渉により中絶、未完。逆境にある少年愛川吾一が、誠実に生きていく姿を描く。
田坂具隆監督による映画の題名。出演、片山明彦、滝花久子ほか。文部省推薦映画の指定第1号。
原研吉監督による映画の題名。昭和30年(1955)公開。出演、坂東亀三郎、山田五十鈴ほか。
久松静児監督、新藤兼人脚本による映画の題名。昭和35年(1960)公開。出演、太田博之、原節子ほか。
家城巳代治の監督・脚本による映画の題名。昭和39年(1964)公開。出演、池田秀一、淡島千景ほか
[補説]はいずれもを原作とする作品。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「路傍の石」の意味・わかりやすい解説

路傍の石
ろぼうのいし

山本有三(ゆうぞう)の長編小説。第一部は1937年(昭和12)1月から6月まで『朝日新聞』に連載。その改稿『新篇(しんぺん)路傍の石』を翌年から『主婦之友』に連載したが、40年7月、軍部圧力により中絶を余儀なくされ、未完のまま翌41年岩波書店刊。貧しいがひたむきで向学心の強い愛川吾一(あいかわごいち)が主人公。母の死後上京した彼は、小石のように踏みつけられ、蹴(け)られながら、印刷所の文選工として自立の道を模索していく。1人の少年の成長の過程をたどった教養小説で、作者の自伝的な要素ももつ作品。

[宗像和重]

『『路傍の石』(新潮文庫)』『『定本版 山本有三全集9』(1976・新潮社)』

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百科事典マイペディア 「路傍の石」の意味・わかりやすい解説

路傍の石【ろぼうのいし】

山本有三の長編小説。1937年―1940年,《朝日新聞》《主婦之友》に発表。第2次大戦で軍の干渉を受け未完のまま中絶。けなげな少年愛川吾一の成長をたどって,人間いかに生くべきかを書こうとしたもので,自伝的要素をもち,一種の教養小説とされている。

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デジタル大辞泉プラス 「路傍の石」の解説

路傍の石

栃木県栃木市、山本総本店が製造・販売する銘菓。栃木産の大麦粉を焙煎した麦こがしを加えた饅頭。菓名は栃木出身の作家、山本有三の作品にちなむ。

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