身内(読み)みうち

精選版 日本国語大辞典 「身内」の意味・読み・例文・類語

み‐うち【身内】

〘名〙
① からだの内部。また、からだのすべての部分。からだじゅう。
※虎明本狂言・蚊相撲(室町末‐近世初)「身うちがいたうてくるくると目がまふた」
② ごく親しい血縁関係にある人。親族。一族。みより。
※玉塵抄(1563)三六「景帝の后の弟なるほどに文帝武帝代々したしう身内になって」
③ 同じ親分に属する子分
※自由学校(1950)〈獅子文六〉その道に入る「みんなおめえをどこかの身内の者だと思ってるらしいぞ」

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デジタル大辞泉 「身内」の意味・読み・例文・類語

み‐うち【身内】

ごく親しい血縁関係にある人。家族。親類。「身内だけで祝う」
同じ親分に属する子分。また、同じ組織に属する者。「暴力団身内どうしの抗争」「身内不祥事隠蔽いんぺいする」
からだの内部。また、からだじゅう。「身内にしみわたる」
[類語](1肉親近親係累家族一家家内家人うちの人親子親兄弟妻子骨肉血肉けつにく身寄り家累家眷かけん一家眷属いっかけんぞく妻子眷属さいしけんぞく一族ファミリー家庭

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改訂新版 世界大百科事典 「身内」の意味・わかりやすい解説

身内 (みうち)

文字どおりには人の身体の内部を指すが,拡張された意味では,家族成員など血のつながりのある親族,あるいは血縁はなくても比較的近い親類や姻戚など,一族の中に含められる者をいう。血縁を基盤とする親族的ネットワークのことである。古来日本人は,こうした親族組織を基礎単位にして社会生活を営んできた。たとえば,いちばん小さい身内である家の者は,自給自足する生活の拠点を構成していたし,また冠婚葬祭は,同じ地域の人が手伝ったものの,身内の者が中心になって行うものとされていた。婚儀では親類に披露するために宴を設けたのであり,葬儀ではもっぱら親類が集まって亡き人を送るのがしきたりであった。だが今日では,身内にかわって職場の上司や同僚,先輩や友人などが主客となって結婚披露宴を開いたり,葬儀にしても,告別式を会社葬や団体葬の形でとり行われたりするケースも増えてきた。身内という存在の社会的意義が薄れてきている証拠である。しかしその反面,日本の社会そのものが,身内を拡散したような形で疑似血縁的に構築されているのも事実である。というのも,日本で身内という言葉は,疑似血縁的な組織成員のことを指している場合が多いからである。いわゆる〈やくざ〉の世界において,配下となった子分たちのことを身内と称するのは,その典型である。そこでは,疑似親子関係ないし疑似兄弟関係で結ばれた者どうしが身内を構成している。そうした身内には,一定の組織秩序の下で家族同様の振舞いをすることが期待される。家長的な親分の庇護とそれにこたえる子分の忠誠とが求められるのである。このような傾向は,やくざに限らず一般に日本のいろいろな集団組織においても見られる。法社会学者の川島武宜が〈日本社会の家族的構成〉として指摘した点である。日本では身内になぞらえて仲間集団や職場が編成される傾向が顕著だといえよう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「身内」の意味・わかりやすい解説

身内
みうち

いわゆる親戚,親類の関係にあるものをさしていうとき用いられるが,学問的規定はない。血縁関係にあるもののなかで6親等内にあるものを法的には親族というが,身内はかなり主観的な性格が強く,個々人の判断にまかされる。血縁的には遠くても,日常生活のなかで社会的交渉が頻繁であれば,身内意識は強く出る。いわば法的な親族範囲に対し,社会的あるいは心理的な親族範囲があり,身内意識はそれに近い。また血縁関係をもたない奉公人や雇い人と主人との関係でも身内とする場合がある。これは一種の儀礼的親子関係と意識されるためである。やくざ集団でも,同じ親分から杯を受けた者同士を身内の者と呼んでいる。身内意識が血縁者のなかだけでなく,非血縁者集団ややくざ集団のなかまで広がるのは,日本の家族制度が強大な影響力をもっていたことを示している。

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