転写因子(読み)テンシャインシ

デジタル大辞泉 「転写因子」の意味・読み・例文・類語

てんしゃ‐いんし【転写因子】

遺伝子転写を制御するたんぱく質群。DNAに書き込まれた遺伝情報RNAへの転写を促進したり抑制したりするはたらきをもつ。約2000種以上ものたんぱく質が同定されている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「転写因子」の解説

転写因子
テンシャインシ
transcription factor

転写酵素であるRNAポリメラーゼを正確に転写開始点に配置するためのタンパク質群.RNAポリメラーゼ自身には転写開始点を認識する能力はない.遺伝子上流のTATAボックスのようなプロモーター部位を認識し,そこにRNAポリメラーゼの足場となる複合体を形成する転写因子(general transcription factors:TBP-TFIID,TFIIA,TFIIB,TFIIF,TFIIE,TFIIH)と,プロモーターよりさらに上流に存在する調節部位(各遺伝子に固有な配列)を認識し,転写の効率を調節する転写調節因子群(specific transcription factors)もある.狭義には前者広義には両者をさす.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「転写因子」の解説

転写因子

 遺伝子の転写を制御する因子で,2000種以上とされる非常に多数のものが同定されている.タンパク質で,遺伝子の通常転写領域の5上流に結合して転写を制御する.ステロイドホルモンレセプターも転写因子の一種である.なお,RNAポリメラーゼが働くために必須な因子を基本転写因子といい,この因子も多数同定されている.上述の転写因子は,この基本転写因子と相互作用して,転写を制御する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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