転読(読み)テンドク

デジタル大辞泉 「転読」の意味・読み・例文・類語

てん‐どく【転読】

[名](スル)
経題経典の初・中・終の数行だけを略読すること。大部の経典、特に「大般若経」600巻について行われる。転経。→真読
経典を読誦どくじゅすること。転経。

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精選版 日本国語大辞典 「転読」の意味・読み・例文・類語

てん‐どく【転読】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とびとびに読むこと。
    1. [初出の実例]「西洋書の翻訳を、倒さまに転読するやうなせりふが」(出典:明治の光(1875)〈石井富太郎編〉二)
  3. 仏語。経典を読誦すること。また、ていねいに読むこと。真読。
    1. [初出の実例]「請僧六百尼三百於中宮、令読金剛般若経」(出典:続日本紀‐神亀四年(727)二月辛酉)
    2. 「毎日に法花経一部転読する外は他事なし」(出典:平家物語(13C前)五)
    3. [その他の文献]〔地蔵本願経‐下〕
  4. 仏語。大部の経典の本文読誦を省略し、経題・訳者名あるいは経典の初・中・終の要所を読むことによって全体を読むのに代えること。多くは大般若経(六〇〇巻)に対して行なう読み方。⇔真読
    1. [初出の実例]「奉大安殿僧二百転読一日」(出典:続日本紀‐天平一六年(744)三月丁丑)
    2. 「是は大般若経転読(テンドク)御布施なり」(出典:太平記(14C後)六)
    3. [その他の文献]〔蘇悉地経(別本二)‐中〕
  5. 芸道で、順序をふまないであちこちをかじって不完全な芸を演ずること。
    1. [初出の実例]「当時の若為手の芸態風を見るに転読になる事あり」(出典:花鏡(1424)知習道事)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「転読」の意味・わかりやすい解説

転読
てんどく

経典を読誦すること。また経典の一語一句を読誦する真読に対して,経典の初,中,後の数行を読んで経本を転回し全巻を読誦したものとすること。『大般若経』 600巻の転読はよく行われている。

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