軽粉(読み)ケイフン

デジタル大辞泉 「軽粉」の意味・読み・例文・類語

けい‐ふん【軽粉】

古く中国から伝えられた薬品で、駆梅薬やおしろいの原料にした白色粉末塩化水銀(Ⅰ)(甘汞かんこう)が主成分で、水に溶けにくく毒性が弱い。水銀粉はらや。伊勢おしろい。

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精選版 日本国語大辞典 「軽粉」の意味・読み・例文・類語

けい‐ふん【軽粉】

  1. 〘 名詞 〙 水銀食塩、にがり、赤土をこね合わせ、加熱して得られた昇華物で、本質塩化第一水銀甘汞)。伊勢地方で一三世紀頃から製造された。駆梅、利尿抗菌作用がある。はらや。
    1. [初出の実例]「唐瘡をかきいだして、これをふせがんとて、軽粉(ケイフン)大風子なんど、あらけなき薬をのみて」(出典仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)六)

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世界大百科事典(旧版)内の軽粉の言及

【白粉】より

…やがてこれが肌を黒くし若死にさせる原因であることがわかり,多くの風刺詩作者たちがその害を説いたが,化粧効果のすぐれた白粉ができなかったので近代まで使われていた。甘汞(塩化第一水銀)は軽粉(けいふん)ともよばれ,古代中国で発明され,おもに薬として使われていた。ヨーロッパで軽粉が使われだしたのは16世紀からで,これも薬用であった。…

【化粧品】より

…おしろいは天然の白陶土(カオリン)が使われていたが,紀元前4世紀にギリシアで鉛白(えんぱく)(塩基性炭酸鉛)がつくられ,鉛おしろいの歴史がはじまった。一方,水銀おしろいである軽粉(けいふん)(塩化第一水銀)は,10世紀ごろ中国の宋代から医薬用として使われてきた。紅はベニバナやヘンナから抽出される赤色染料や,朱(硫化水銀),べんがら(酸化第二鉄),鉛丹(四三酸化鉛)などの赤色顔料が使われていた。…

※「軽粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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